ソフト食(ムース食)を病院で導入する為の6つの手順とは

病院栄養士の仕事

こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

 

みなさんの施設はソフト食(ムース食)を導入していますか?

当院では、2007年(平成19年)から患者さんへのソフト食の提供を開始しました。

 

私の病院でいうソフト食とは、ミキサーにかけた食事にゲル化剤(ゼリーの元)を加えて成型した料理のことを指します。

 

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2013でいうコード2に該当する物性の料理です。

 

下の表が日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2013の早見表です。

(ヘルシーネットワーク資料使用)

今回は私の病院がなぜソフト食を導入したのか、又どのように段階を踏んで導入に至ったのかをご紹介したいと思います。

これからソフト食を導入したいと考えている方、必見です。

ソフト食ってなに?

そもそもソフト食とは、どのようなものをいうのでしょうか?

ソフト食の第一人者である黒田留美子先生はソフト食を次のように定義しています。

噛むこと、飲み込むことが難しくなった高齢者にも、安全で、かつ、見た目に美しく、味もおいしい料理を、独自の材料・調理法により作成したものです。
高齢者ソフト食は、見た目は普通食と同じですが、噛み切りやすく飲み込みやすいよう調理法を工夫しているほか、物性の測定により検証を行うなど、安全に配慮しています。

<3つの定義>

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  1. 舌で押しつぶせる硬さであること
  2. すでに食塊となっているような形であること
  3. すべりが良く移送しやすいものであること

<黒田留美子式高齢者ソフト食の特徴>

  1. きざみ食に代わる新しい食事形態
  2. 見た目がきれいな介護食
  3. いつもの材料でつくることができる
  4. 安全でおいしい介護食
  5. テクスチャーの特性

このようにソフト食の広義は、「軟らかくて飲み込みやすい食事全般」を指します。

しかし実際に病院でいうソフト食とは、

「軟菜食をつぶしてペースト状にしたものに、ゲル化剤を加えたりして形よく固めた食事」を指すことがほとんどという印象です。

ソフト食の導入は、自分の施設でのソフト食の定義を決めることから始まるのです。

なぜソフト食導入を目指したのか?

では、なぜわたしの病院はソフト食を導入することを決めたのかをお話ししていきます。

まずソフト食導入前の当院の食事形態は次の通りでした。

・一般食
・軟菜食
・粗刻み食(一口大)
・刻み食(1cm程度)
・極刻み食(刻み食を更に小さくしたもの)
・ミキサー食(軟菜をミキサーにかけたもの)

※それぞれにトロミの有無あり。ミキサー食はトロミ対応。

そして、極刻み・ミキサー食をソフト食に移行する形でソフト食の導入を行いました。

ちょうど私たちがソフト食導入を決めた頃は、世の中的にもソフト食というものの知名度が急上昇し、勉強会などが積極的に開催されるようになってきた時期でした。

(特にミキサー食は粘性が強く、誤嚥リスクが高いという事がいわれていました。この当時はミキサー食排除の動きが強かったのを覚えています。しかし私は実際にソフト食導入した上で、やはりミキサー食ではないと対応できない患者さんがいるのも事実だと実感しています。)

そのような勉強会に参加する中で、いままで当然のように提供してきたミキサー食に課題を感じるようになったのです。

ミキサー食はどうしても見た目が悪くなったり、何を食べているのかわかりにくくなってしまうという問題点があり、その結果食欲がおちてしまう患者さんもいました。

又極刻み食を提供している方では、食塊形成が難しいことや食材によって食べやすさ・固さなどにばらつきが出てしまうといった課題もありました。

ソフト食を導入すれば、見た目の改善による食思の向上均一な物性の安全な食事提供に繋がると考え、導入を決意しました。

ソフト食導入に必要な6つの手順

それでは、いよいよ当院でソフト食を実際に一から導入したてんぱぱぱが、自分の経験を元にどのようにソフト食を導入したらよいか、その手順をご紹介したいと思います。

ちなみに当院の基本情報はこんな感じです。

・病床数約150床で一般病棟・地域包括ケア病棟・療養病棟をもつ総合病院
・直営給食
・患者食は全部で100食程度
・ソフト食対象者は10名前後
・厨房業務は朝夕食は3人(調理1人、盛付2人)、昼食時は5人(調理1人、盛付4人)で対応。
・職員食も提供

そして私たちは次の6つの手順でソフト食を導入しました。

1.ソフト食チームの結成
2.ソフト食についての情報収集(院外勉強会の参加や導入施設の見学)と科内共有
3.導入方法の検討(ソフト食定義の決定、食事形態の整理、調理工程、献立作成、ゲル化剤の選択・必要な調理機器の購入)
4.他職種への周知・教育(試食会の実施、栄養科主催の勉強会の実施)
5.患者さんへ提供開始(月1回昼食⇒頻度の増加⇒毎日昼食⇒毎日昼夕食⇒毎食へ)
6.導入前と導入後の比較データをまとめる⇒院内・学会等で発表

それでは、それぞれの手順について確認していきましょう。

ソフト食チームの結成

ソフト食を導入するにあたって一番最初に行うことがあります。

それは、ソフト食チームの結成です。

チームが必要な理由は大きく2つです。

一つ目は、勉強会や施設見学に行くとなった場合、全員で参加することは出来ません。

色々なスタッフが別々に情報収集すると、その情報を集約するだけで時間がかかってしまい非効率です。

まずはスペシャリストを育成し、その情報を科内に周知していく方が効率的だと思います。

二つ目は、

科内全員で話合いながら進めていくことも大事ですが、1から大人数で話し合っていても話はまとまりません。

まずは、ソフト食チームが方向性を絞った上で、その内容についてみんなの意見を聞く方がスムーズに話が進みます。

チームは3人~4人程度がおすすめです。

栄養士2名、調理師2名くらいがバランスがいいと思います。

栄養士だけ、調理師だけというのは考えが偏ってしまうことがあるためおすすめしません。

ソフト食を導入する為には、栄養士と調理員の協力は不可欠です。

協力して取り組んでいきましょう。

またチームメンバーは新しいスタッフより熟練したスタッフの方がいいと思います。

様々な情報を元に自分の施設ではどうしていくかという事を噛み砕いて考えていくためには経験値が必要です。

又ソフト食を導入する事は、簡単なことではありません。

業務量が増えることですから、時には反発もあるかもしれません。

・・・あります。

しかし全員が協力して前向きに取り組んでいくことが大切であり、チームメンバーは先陣をきってひっぱっていく力が求められるのです。

ソフト食についての情報収集(院外勉強会の参加や導入施設の見学)と科内共有

ソフト食チームを結成したら、まず行うのはソフト食についての情報収集です。

ソフト食についての勉強会は、普及が進んだ現在でも多く実施されています。

最近はゲル化剤の種類や盛り付け技術の向上など、ソフト食の質はどんどん高まっています。

ソフト食を新たに取り入れるにあたって、自施設ではどのような対象者にどのような内容で提供していくのかという事を考えなければなりません。

ソフト食といっても様々なものがありますので、いろんな完成形を知った上で、どのようなソフト食を目指すのかという事を考えていきましょう。

ソフト食対応の種類とメリット・デメリットはざっとこんな感じです。

①ペーストにした食事にゲル化剤を入れて固めたもの

<メリット>

・粒のある食事は食べれない方でも食べられる。

・献立の大幅な変更がなくても対応が可能(軟菜食をベースに微調整するだけ)、又献立の調整に融通が利く

・ゲル化剤や水分量のマニュアル化さえしてしまえば安定した物性で料理を仕上げることが出来る

・既製品などと比較し、食材料費を抑えることができる

・食材の味をそのまま料理に活かすことができる

<デメリット>

・調理工程のマニュアル化や、耐熱の業務用ブレンダ―などが必要

②ペーストにした食材に豆腐、卵などのつなぎを使用してつくるゲル化剤を使わないもの

<メリット>

・蒸し料理が多く、ふわっとした食感で食べやすい料理に仕上がる

<デメリット>

・ソフト食献立を他の食種とは完全に分けて考えなければならない。

③食材を軟化効果のある商品で柔らかくしたもの

<メリット>

・ミキサーにかけないで提供が可能。食材そのままの形での提供が出来る。

<デメリット>

・対象は軟菜~刻み食までの印象。極刻み・ミキサー食への切り替えは難しい。

・食材を軟化液に漬けこむ工程が必要なため、仕込み・調理工程や、場合によっては食材納品のタイミングから見直しをする必要が出てくる。

④既製品

<メリット>

・常に一定の品質の食事提供が可能

・最近は質の高い商品が数多くそろっている

・退院後に向けた食事指導がしやすく、家族も比較的対応しやすい。

・業務が効率化できるため人件費の削減につながる。又忙しい朝食などにも導入しやすい。

<デメリット>

・ソフト食献立を他の食種とは完全に分けて考えなければならない。

・価格が高い

・病院などで導入する場合、食材管理の観点からも短いサイクルでパターン化されやすい(1週間サイクルなど)

・食材の味が少し変わってしまっている商品もある。

(甘味が強くなっているものが多い印象があります。)

ちなみに当院ではソフト食へ切り替えたい対象者が極刻み・ミキサー食の方だった為、③を除いた①②④をそれぞれ検討した結果、①のゲル化剤を使用したソフト食を導入しました。

病院であれば、①か④、もしくは①と④のミックス(一部の料理のみ使用、忙しい朝食だけ使用など)が導入しやすいと思います。

私も最初は勉強会に参加していろんな情報を集めながら、どのようなソフト食を目指すかを検討しました。

また近くにソフト食導入施設があるようでしたら、見学させてもらうとすごくイメージがわきます。

私の場合、同僚の前の職場がソフト食を導入している施設だった為、お願いをして見学させてもらいました。

すごく刺激をもらったことを覚えています。

チームでソフト食についての情報を集めたら、科内で共有しましょう。

口頭での説明も大事ですが、試作・試食を行うことが一番イメージしやすいと思います。

導入方法の検討(ソフト食定義の決定、食事形態の整理、調理工程、献立作成、ゲル化剤の選択、必要な調理機器の購入、マニュアルの作成)

情報を収集したら、自分の施設ではどのように導入するかを考えていきます。

考えなければならない要素は次の通りです。

 

1、ソフト食の定義の決定

まず自分たちはどのようなソフト食を目指すのかという事を考えます。

どのような方を対象とするか、どのような仕上がりを目指すのかなどを検討します。

 

ちなみに当院の決めた定義は、

1、見た目にこだわる

2、対象は極刻み・ミキサー食

3、献立に忠実

 

の3つでした。

自分の施設にあったソフト食定義を考えましょう。

 

2、食事形態の整理

ソフト食を導入する為には、食事形態の整理が必要です。

「今対応している食事形態はそのまま残しソフト食を追加するのか」、「ソフト食を入れる代わりに何かの食事形態をなくすのか」を具体的に考えていきます。

 

当院では、極刻み食とミキサー食を廃止しソフト食を導入しました。

(現在は極刻み・ミキサー食も特別対応では受けていますが、通常対応の形態には入れていません。)

 

ソフト食作成という新たな業務が加わりますので、業務量の軽減という目線からも食事形態の整理を考えるといいです。

 

3、ゲル化剤(固形化補助食品)の選択

ゲル化剤を使用したソフト食をつくることを決めた場合、どのようなものを選択するかによって調理工程も変わってきます。

自分の施設にあったゲル化剤の選択をしましょう。

ゲル化剤で一番基本となるのは、ゲル化剤を混ぜて加熱して温度が下がると固まるタイプです。

このタイプのなかにも、おかゆ用、おかず用などたくさんの特徴を持つ商品があります。

 

固まり方も「プルンッとしたゼリー」のように固まるものや、「しっとり柔らかいテリーヌ」のように固まるものなど固まり方も実は商品によって微妙に違います。

また同じ物性にするために必要な使用量や価格も違います。

 

加熱しなくても固まるゲル化剤もあります。

 

様々な商品がありますので、色々試してみて自分の施設に合うものをみつけましょう。

 

私のおすすめするのは、お粥にもおかずにも両方使用できるゲル化剤です。

 

 

料理によってゲル化剤の種類を変えるのは、調理の際に手間ですし、同じような粉がたくさんあると入れ間違えなどのミスが起こってしまう可能性も増えるからです。

 

また使用量のマニュアル化や加熱温度などを含める調理工程の整理という事を考えても、なるべく使用するゲル化剤は統一するにこしたことはないと思います。

 

またもう一つ大事なことは、ゲル化剤のメーカー担当者の対応です。

これは採用しなければわからないところもあるかもしれませんが、自施設でソフト食の提供を行う中で、

「これ、他の施設ではどうしてるのかな?」とか、

「これ、もっと効率的な方法ないかな?」など様々な課題・疑問点が出てきます。

 

そのような疑問点に対して、多くの情報を提供してくれるメーカーだと、とても頼りになります。

 

また作成したソフト食の物性を調べたいと考えた時に専門の機械を使って物性測定に協力してくれるメーカーもあります。

 

ニュートリ―株式会社では、物性測定の協力が可能である旨をHPでアナウンスしています。

嚥下ニュース | ニュートリー株式会社
栄養療法による病態別食品の開発・製造・販売を行うニュートリー株式会社の公式ホームページです。企業情報や製品情報、学会出展情報などを掲載しています。嚥下チームによる「嚥下news」、ポイントプログラムもこちらから。

 

またアナウンスしていないメーカーでも相談すれば対応してくれるメーカーはありますので確認してみるといいと思います。

 

まめに職場に顔を出してくれるメーカーさんの方が心強いですね。

 

4.ソフト食の献立作成

ソフト食の献立は、どのような導入手段を用いるかで変わってきますが、手作りでの導入となる場合気を付けなければならない事があります。

それは、料理をミキサーにかける工程を踏むので、どうしても「量が増えてしまう」「味が薄くなってしまう。」という二つの問題が生じてくるのです。

 

病院のソフト食は献立に忠実でなくてはならない為、作ってみたら意外と多かったから調整してちょうどいい量だけ盛ろう」という対応はできません。

「一人分は一人分ですべて盛り付ける」が基本です。

 

ですので、ソフト食献立を作成する際には、量は少なめ・味は濃いめを意識して作ることをお勧めします。

 

応用編になりますが、量を減らすと必然的に栄養量も落ちてしまします。

エネルギー、脂質の強化では油の活用が有効です。

 

サラダ油、ごま油、オリーブオイル、マーガリン、バターなどの商品を多く使用すると栄養強化につながります。

またMCT(中佐脂肪酸)商品もたくさん出ています。

 

MCT(中鎖脂肪酸)は効率的なエネルギー源で、一般の植物油に比べて速やかに消化・吸収されるので、エネルギーになりやすい特性があります。

価格はちょっと高いので使用については総合的に判断しましょう。

 

また脂質が加わると、ソフト食の仕上がりが滑らかになり、嚥下しやすくなるというメリットもあります。

 

 

ビタミン・ミネラルの不足には、微量元素を強化したゼリーなどを付加する対応もありますし、濃厚流動食を混ぜてソフト食を作成するという方法もあります。

 

 

濃厚流動食を利用する場合は、ミキサーに回す時の水分を濃厚流動食に切り替えて、量の増加を防いで活用しましょう。

 

5.調理工程の決定

ソフト食を作成する際に、ゲル化剤の種類にもよりますが、基本的には

加熱⇒冷やし固める⇒成型

という工程が加わります。

 

衛生管理の問題もあり、盛り付けの開始時間は早めるのは難しい場合もありますので、同じ時間に盛り付けを開始できるように逆算してソフト食の準備をしましょう。

 

ソフト食の調理方法は幅広くあり、必ずしも普通食と同じではありません。

 

例えば魚の照り焼きをつくる場合、

魚の照り焼きをつくる⇒ゲル化剤と一緒にミキサーにかける。⇒ゲル化剤を溶かすため鍋に移して再加熱する⇒冷やし固める⇒成型
という方法を基本とすると、
 
生の魚と使用する調味料を一緒に煮る⇒熱々のままゲル化剤を入れミキサーにかける⇒冷やし固める⇒成型
という方法もあります。
 
 
これだとゲル化剤を溶かすための再加熱の工程を省くことが出来るので効率的ですね。
 
又加熱する食材が少量であれば、鍋で加熱するのではなく電子レンジを活用する方法もあります。
 
実際に対応できる方法を色々な視点から検討していきましょう。

 

6.必要な調理機器の購入

ソフト食を作成するにあたって必要なものがありますので簡単に確認していきましょう。

◎ミキサー

ペーストにしてゲル化剤を使用するソフト食をつくる場合、必ず必要なのがミキサーです。

ミキサーは家庭用でもよいのですが、病院などある程度大量に、かつスピーディーに調理することを考えた場合は、やはり業務用ブレンダ―がおすすめです。

 

理由は2つ。

 

1つは回転力が違う事。

ある程度の量を一回で回す場合、ミキサーには負荷がかかります。

業務用であれば、回転力がありますので、一回でたくさん回すことも可能です。

 

また、仕上がりがなめらかに仕上がります。

実は小松菜などの葉物や絹さやなど、柔らかく見えるものでも、いざミキサーにかけると繊維が残ってしまいやすいものって意外と多くあるんです。

 

ソフト食の対象者は嚥下機能が落ちている方がほとんどなので、繊維が残ってしまうことは誤嚥に繋がってしまう事もあります。

 

やっぱり力は大事です。

 

あとはどうしても繊維がのこりやすい食材に関しては、ソフト食の献立には使用しないというルールにしてしまうのも一つの手段だと思います。

 

2つ目は、ミキサーカップが耐熱のものがいいということです。

ソフト食を効率的につくろうとする場合、どうしても熱々の状態でミキサーにかけることになります。

 

私の職場でも最初は、耐熱性ではない家庭用ミキサーを使用していたのですが、熱いものを入れることで、カップがひび割れてしまい、買い換えないといけなくなってしまったという事がけっこうありました。

 

これを防ぐためには、ミキサーにかける前に一度食材を冷やす工程が必要になってしまうため、どうしても作業効率が落ちるのです。

 

ソフト食の導入を考えた時に、いかに時間的な負担を減らすかは大切なポイントになりますので、是非業務用ミキサーを検討してみて下さい。

 

私はミキサー購入の稟議書を作成する際に

今まで割れてしまったが為に再購入したミキサーの価格と業務量低減に伴う人件費削減効果を考えると、高い業務用ミキサーを購入してもお得になります。

と説明し購入してもらいました。

 

私のおすすめは、

ハミルトンビーチシリーズ

バイタミックスシリーズ

アサヒブレンダーシリーズ

です。

 

 

どれも非常に滑らかに仕上げることが出来ます!

手入れの方法などは商品によって違いますので、衛生管理についても意識して商品を選びましょう。

 

・・・やっぱ高いな。

 

◎ソフト食の型

ソフト食を成型するために必要なのが型です。

ソフト食を様々なバリエーションで盛り付けたいと考えた場合、色々な型を用意しておくと盛り付けの幅が広がります。

 

・プリンカップ

・テリーヌ型

・肉、魚、野菜の形に成形できる型

 

など様々あります。

抜き型もきれいではありますが、病院食のように献立に忠実に料理しなければならない場合、抜いたあとの残りも上手に盛り付けなければならないので、あまり向かないかもしれません。

等分しやすい型を使用することをお勧めします。

 

又型の材質は、シリコンがおすすめです。

比較的難しい成型でもきれいに作ることが出来ます。

色々検討してみて、実際に使用できるこのを採用していきましょう。

 

◎はかり、電子はかり

ソフト食を作成する際には、ソフト食の合計重量とそれに使用するゲル化剤の量を計量する必要があります。

ソフト食をはかる大き目のはかりと、ゲル化剤をはかる細かく計量できる電子はかりの両方をそろえるといいです。

 

 

⑦ソフト食のマニュアル作成

ソフト食を提供するにあたり大切なことがあります。

それは、

誰がつくっても、同じ物性を再現できる
退院後に患者さんが家で病院と同じ内容の食事を準備できる
 
という事です。
 
これを行っていくために、私の職場ではソフト食マニュアルを作成し、どんどん肉付け・改良していきました。
 
主なものとしては、
 
①ソフト食調理工程マニュアル
②ゲル化剤量マニュアル(肉・魚は1%、葉物は2%など食材ごとのゲル化剤使用量)
③水分量マニュアル(食材に対して1倍、1.5倍などミキサーにかける時に加える水分量)
などです。
 
これを作成することで、誰でも同じ物性でソフト食を作成することが出来るようになります。
 
又退院後のソフト食準備のための資料としても活用することができますので一石二鳥です。
 
 
しかし退院後のソフト食提供に関する指導を行う際には、本人・家族がどこまで対応できるかという事をしっかり確認したうえで適切な情報を提供しなければいけません。
 
ソフト食を提供している方々は、自分で食事の準備が出来ない方が多いです。
家族の手厚い協力体制があれば、自宅で準備することも可能ですが、それが難しい方もいます。
 
そういった方に対しては、宅配食や既製品のレトルト商品などでの対応についても指導する必要があります。
 
病院で提供している内容と同じ物性の料理がある商品を予め確認しておきましょう。
 
又宅配サービスだけではなく、家の近くのスーパーやドラッグストアで比較的簡単に手に入る料理の情報提供も不可欠です。
 
自分の職場、もしくは職場の近くで手に入る商品を把握しておくと、患者さんに説明しやすいと思います。

他職種への周知・教育(試食会の実施、栄養科主催の勉強会の実施)

ソフト食導入についての準備が出来たら、次に行うのは他食種への周知・教育です。

栄養士ならソフト食と聞くと、

「ああ・・・こんな料理かな?」

とだいたいイメージ出来ると思いますが、他の職種の方はそうではありません。

ですので、ソフト食を知ってもらうための活動が必要になるわけです。

一番周知しやすいのは、試食会です。

当院では、ソフト食についての試食会を実施してソフト食についての理解を深めてもらいました。

出来れば、現在提供している食事形態とそれに代わるソフト食という形で食べ比べてもらえるとすごくいいと思います。

またその際には必ずアンケート調査を行ってください。

今の食事形態がいいか、ソフト食がいいかという内容を組み込んでおき、ソフト食の方がいいという意見が多ければ、施設内でのソフト食導入の後押しをしてくれます。

対象スタッフは、看護師・看護助手に限定せず、医師や他のコメディカルにも食べてもらえるといいです。

食事の指示は医師が出しますので、医師がソフト食を知っているという事はとても重要です。

又リハビリ科でも嚥下訓練を行っていますので、食事形態の対応が変わるというのは非常に大きな変化です。

連携が大切ですね。

又事務長など職場の幹部の方に食べていただくのも重要です。

ソフト食導入はゲル化剤の使用や、型の購入、栄養補助食品の利用など、場合によってはコストが上がってしまう事が考えられます。

それでも導入メリットのほうが大きいというのを理解していただくには、食べてもらうのが一番手っ取り早いです。

また勉強会の開催なども行うといいと思います。

これは、「ソフト食とは」という内容にあわせて、「摂食嚥下のメカニズム」や「食事介助方法」なども組み込むと有意義な勉強会になります。

というのも、当院ではソフト食を提供前はミキサー食を提供していましたので、その延長線上で食事介助の際にソフト食をグチャグチャにミキサーみたいにして介助する光景をたまにみました。

これでは、せっかくソフト食を提供してもメリットがなくなってしまいます。

このようなところも合わせて知っていただくといいですね。

食事を自力摂取できない方にとって食事の内容は大切ですが、同じくらい介助方法が大切なのです。

勉強会はゲル化剤の採用メーカーなどに依頼すると引き受けてもらえると思います。

患者さんへ提供開始(月1回昼食⇒頻度の増加⇒毎日昼食⇒毎日昼夕食⇒毎食へ)

いよい実際にソフト食の提供を開始します。

私の職場では、一気にソフト食導入というのは難しいと判断し、段階的に導入していきました。

まずは月1回昼食のみ

月に2回昼食のみ

1週間に1回昼食のみ

毎日昼食

毎日昼食、夕食

毎日3食

といった具合にかなりゆっくり進めていきました。

実際に導入してみると、新たな課題が次々出てきたりしますので、最初は頻度を少なくして、

提供→課題の抽出→改善→提供
を繰り返していくのがいいと思います。
 
 
月に1回、週に1回程度であれば、スタッフの人数やメニューを事前に調整することが出来ますので負担を少なく経験がつめるでしょう。
 
当院では、一番人員の多い昼食時から導入しました。
 
 
朝食での導入は、一番時間に追われている忙しいタイミングなので、話し合いも密に行う必要があります。
 
場合によっては、ソフト食献立の品数調整や朝食だけ既製品を利用するといった対応も必要かもしれません。
 
実現可能な方法を十分に検討して準備していきましょう。

導入前と導入後の比較データをまとめる⇒院内・学会等で発表

実際にソフト食を導入したら是非やっていただきたいのが、導入前と導入後の比較です。

「ソフト食を導入してこんなにいいことがあった」という事を確認しておきましょう。

更なるソフト食の発展につながるでしょう。

比較しておくといいものはこん感じです。

①喫食率の変化(それに伴う栄養状態などの客観的データがあるとなおよい)
②業務量の変化
③食材料費の変化
④患者さんの反応(嗜好調査の実施)
⑤他食種の反応(アンケート)

又、このような情報が収集出来たら学会や院内で発表するといいと思います。

ソフト食の情報発信につながりますし、病院での栄養科の評価にも結び付くでしょう。

学会発表などを積極的に行うと、メーカーの協力対応も変わってくるかもしれませんよ。(ニヤッ)

まとめ

今回は、ソフト食の導入に必要な6つの手順についてご紹介しました。

すべてを一気に進めていくことは簡単ではありません。

しかしこの手順を一つひとつ達成していけば、あなたの施設でも必ずソフト食を導入できるはずです。

しかしソフト食導入は1人の力ではどうにもなりません。

最後にお伝えしたいのは、ソフト食を導入する為には、スタッフ一丸となって協力することが必要不可欠だという事です。

みんなが同じ方向を向いてソフト食導入に向かって進んでいける環境をつくっていくことが、あなたの一番大切な役割かもしれません。

やらなければならないことはたくさんあります。

私もソフト食の導入は達成しましたが、さらなる質の向上というところでは、まだまだやることが残っています。

しかし、すべては食べてくれる方のために・・・

これに尽きると思います。

より良い食事提供を目指して、みんなで頑張っていきましょう。

今回は長くなりましたが、最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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