ナトリウムの単位 ミリグラム(mg)とメック(mEq)の違いとは?

栄養基礎知識

こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

 

今回はナトリウムの単位について考えていきます。

 

栄養管理をする時に患者さんの状態把握をする上で必ず行うのが血液検査結果の確認です。

検査値をみながら体の状況を把握し、治療がうまくいっているか確認します。

 

その中でもよく見る検査値の一つとして電解質のデータがあります。

 

電解質とは、次のように説明出来ます。

身体の水分、つまり体液には「電解質(イオン)」が含まれています。電解質(イオン)とは、水に溶けると電気を通す物質のことです。電解質は水中では電気を帯びたイオンになり、電気を通すようになります。

この電解質(イオン)は、細胞の浸透圧を調節したり、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わるなど、身体にとって重要な役割を果たしています。電解質(イオン)は少なすぎても多すぎても細胞や臓器の機能が低下し、命にかかわることがあります。

主な電解質(イオン)には、ナトリウムやクロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。これらは5大栄養素としてあげられるミネラルに属し、ミネラルは水に溶けると陽イオンと陰イオンに分かれます。例えば、塩化ナトリウム(NaCl)は、水に溶けるとナトリウムイオン(陽イオン)とクロールイオン(陰イオン)になります。

大塚製薬より引用

 

特にナトリウム(Na)とカリウム(K)は電解質のバランスを確認する意味でも必須の検査値といえるでしょう。

 

ここで確認しておきたいのが単位です。

電解質の検査値はmEq(メック)で表記されます。

 

量を考える時に使われる単位はmg(ミリグラム)やg(グラム)など質量を表す単位が使われることが多いと思いますが、なぜこのmEqという単位が使われるのでしょうか?

 

「そもそもmEq(メック)ってなーに?」

「mEq(メック)をmgに変換するにはどうやって計算すればいいの??」

 

こんなところをまとめていきたいと思います。

 

それではいきましょう。

ミリグラム(mg)とミリイクイバレント(mEq メック)

まずは単位の使い分けについて考えていきましょう。

 

普段使用している生理食塩水などの輸液バックには、「gまたはmg」と「mEq」の両方が明記されています。

検査値などもmgで表記されるものが多くあります。

 

では、なぜ電解質にはmEqが中心に用いられるのでしょう?

 

答えは、電解質では電離したイオンの電化数が重要だからです。

mEqで表すことで溶液中の陽イオンと陰イオンのバランスがわかりやすくなります。

 

生理食塩液1000mlに溶けているNa+とCl-を例に考えてみましょう。

生理食塩液1000mlに溶けているNa+とCl-

【質量(重さ)】 

Na+=3540mg/L

Cl-=5460mg/L

⇒Na+はCl-より質量が少ない(含まれている重さは軽い)ことは分かるが、イオンバランス(Na+とCl-がどのくらいの数あるか)は分からない。

 

【当量(数)】

Na+=154mEq/L

Cl-=154mEq/L

⇒同じミリ当量となり、Na+とCl-が同じ数で溶けていることがわかる。同じミリ当量であれば同じ浸透圧となる。当量が増えると高浸透圧となり、逆に当量が減ると低浸透圧となる。

 

このように、質量に違いがあってもmEqで示される数が同じであれば浸透圧は等しくなります。

つまり電解質のバランスがわかるという事ですね。

 

体の状態を考える時には、この電解質のバランスというのが非常に重要なポイントになります。

これが検査値や輸液の単位にmEqが主に使われる理由なわけです。

食塩とナトリウムの関係

では次に食塩とナトリウムの関係について考えていきます。

 

食塩とナトリウムは混同されやすい用語なので注意しなければなりません。

 

食塩はNaClで表されます。ナトリウムはNaです。

つまり食塩はNaとClで構成されている、Naは食塩の一部という事です。

 

NaClは、Na40%、Cl60%の割合となっています。

 

ではこれをもとにNaCl(食塩)1gに含まれるNaのミリ当量を求めてみましょう。

質量を当量に変換する計算は、質量を原子量で除すことで求めることが出来ます。

・NaClの質量(mg)の中に含まれるNaは?

⇒Na=1000mg×0.4=400mg

・NaのmgをmEqに換算するには?Na原子量の23で除す(mEq=mmol)

⇒400mg÷23=17mEq
 
答え:1gのNaClには、17mEqのNaが含まれている。

このように、それぞれの物質の原子量さえわかれば、簡単にmgをmEqに変換できるわけです。

ちなみによく使用する物質の原子量はこんな感じです。

物質名 原子量
Na(ナトリウム) 23.0
K(カリウム) 39.1
Ca(カルシウム) 40.1
Mg(マグネシウム) 24.3
Cl(クロール) 35.5
P(リン) 31.0
NaCl(食塩、塩化ナトリウム) 58.5

Na当量から食塩相当量へ

経口補水液(ORS)は経口輸液とも呼ばれ、WHOからORS処方が考案され、Na濃度は75mEq/Lと発表されています。

 

では、この75mEqを食塩相当量に換算してみましょう。

 

1gのNaClには17mEqのNaが含まれているので、

⇒75mEq÷17=4.4g

 

答え:75mEq/Lには、4.4gのNaCl(食塩)が含まれている。

低Na血症の改善のためにはどのくらい塩分摂取すればいいの?

最後に、よくあるカンファレンスでの一コマについて考えていきます。

 

私の施設では、低Na血症の患者さんが比較的多く入院しています。

そのような患者さんのカンファレンスをしていると、医師から

 

ナトリウムが低いから、毎食1gの食塩パックを加えて患者さんに食べてもらって。

という指示が出たりします。

 

この時に考えるのが、「血清Naを補正するためにはどの程度の塩分を摂取する必要があるのかな?」という事です。

 

これの結論をいうと、おそらく

「わかりません。塩分を強化して血清ナトリウムの経過を確認していきましょう。」

ということになるのだと思います。

 

これは体液量や細胞外液・細胞内液のバランス、食事で摂取するミネラルや水分量など患者さんによって状況が異なる為、一概にはいえないのです。

 

塩分を強化してみて、「いい感じに上がってきたね。」とか「あんまり変わんないね。」といったことを確認し、調整していく対応になるかと思います。

(計算方法などを知っている方がいたら教えて下さい m(__)m)

ちなみに食事ではなく、輸液補正による低Na 血症の改善を予測する式としては、Adrogué-Madias式というものがあります。

Adrogué-Madias 式
輸液1リットル投与後の血清[Na]変化(Δ[Na])は以下のように予測できる.
Δ[Na]={輸液中([Na]+[K])-血清[Na]}÷(TBW+1)
注)TBW(total body water)は体重×0.6

あと気を付けなければならないのは、低Na血症の原因は多岐に渡る為、その原因に合わせた対応をしないと低Na血症は改善しないという事です。

 

ただ塩分摂取を強化すれば改善するという簡単なものではありません。

むしろ悪化させてしまう事すらあります。

 

次にまとめたのが、状態に応じた低Na血症の対応です。

軽症ないしは無症候性の低Na 血症の治療
軽症(めまい、記銘力低下、歩行障害など)ないしは症候性でない場合には、きちんと病態把握を行って、病態にあった治療を行っていくこと。


• 細胞外液量増加型→水、Na制限、利尿薬
• 細胞外液量正常型→水制限(多くの場合800mL/日以下)
• 細胞外液量減少型→Na補充(0.9%生理食塩水の投与、高タンパク食、高塩分食),病態に応じてフルドロコルチゾン(フロリネフ®)の投与

ちなみに高度の低Na血症の場合、高張食塩水(3% NaCl)を使ってNa を補正します。

この際には、ODS(浸透圧性脱髄症候群) の発生を予防するために、補正のスピードには十分気をつけましょう。

ODS を避けるための低Na 血症の補正速度は次の通りです。

24時間では9mEq / L未満.48時間では18mEq / L未満

まとめ

今回は、電解質の単位と換算方法についてを中心にまとめていきました。

 

今回の内容を確認しておけば、患者さんの栄養管理を行う際に、電解質をより具体的に考えていけるかと思います。

 

電解質異常は生死に関わる状態です。

そして栄養管理が非常に大きく関わっているという事も間違いありません。

 

他職種とのカンファレンスの際に、具体的な意見が出来る栄養士になるために、今回の内容が役に立てばうれしいです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

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