認知機能に対する若い頃の食事の影響とは

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こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

今回は認知機能に関する研究についてご紹介します。

高齢化が進みむにつれ、認知症者の数はどんどん増加しています。

2012年の認知症高齢者数は、推計で462万人

「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」
(平成23年度~平成24年度)総合研究報告書

監修:首都大学東京 繁田雅弘

全国10市町における65歳以上の住民計約9,000人を対象に行われた厚生労働省研究班の大規模研究によれば、2012年時点の65歳以上の認知症の有病率は15%であり、全国の認知症高齢者数は約462万人と推計されました。
また、認知症を発症する前段階とみられる軽度認知障害(MCI)の高齢者も、約400万人と推計されました。

 

2019年7月に厚生労働省が発表した最新の平均寿命では、

男性:81.25歳
女性:87.32歳

となっており、平均寿命の国際比較では、男性は世界3位、女性は世界2位となっています。

 

この平均寿命を先程の図に当てはめると、男性の5人に1人、女性の2人に1人は認知症を発症することになります。

 

これに認知症予備軍といわれる軽度認知障害を含めると人数はさらに増加します。

 

つまり、私たちはかなりの高確率で認知症になるということです。

私も将来のことを考えると、認知症になることを前提とした準備を行っていくことが大切だと感じています。

 

今回は、認知症と食事の関係についての研究報告がありましたのでご紹介したいと思います。

食事で認知機能低下が防げるのであれば、すべてではありませんが自らの意識で認知症を予防する出来るという事になります。

 

それでは研究内容を確認していきましょう。

こちらは日本ニュートリション教会からの情報を元に作成しています。

研究報告

高齢化社会が進み、認知症予防のニーズが高まっています。

認知症を発症しない食事とはどんなものでしょうか。

米国の研究班が心臓病研究のために1972年から前向きの集団研究を行っているBogalusa Heart

Studyのデータを用い、青年期の食生活データを軸に20年追跡し、認知症発症との関連について分析しました。

米国臨床栄養学雑誌の6月号に掲載された論文によると、若いころの食習慣、特にビタミンB6と全粒粉を摂取することが認知症の発症を抑制していることが明らかとなりました。

認知症は高齢になってからの予防でなく、若年期からの食習慣の見直しが大事ということを示すエビデンスといえるでしょう。

【抄録】食習慣と認知機能:Bogalusa 心臓病コホート研究の結果より

【研究背景】

認知症および終末期の認知機能低下は、米国での死亡や障害の主要な原因となっている。

生涯を通じて、脳機能の維持を図ることによってこうした疾病を予防することは不可欠となっている。

食生活や生活習慣の変化は、認知機能低下のリスクに対する一次予防として重要な戦略といえる。

 

【研究目的】

本研究の目的は、認知機能に対する食生活の潜在的影響を評価することとした。

 

【研究方法】

本研究では、前向きコホートのデザインで中年期までの516人を追跡調査した。

青年向けアンケートを用いて、研究開始時に食習慣に関する調査を実施した(平均年齢:32.03±5.96歳)。

観察期間中には認知機能評価によって神経認知蓄積スコアを用い、Zスコアに変換して分析に用いた(平均年齢:49.03±4.86歳)。

それぞれ多変量調整線形回帰モデルを当てはめ、食生活の因子と認知機能の関係性における傾向を評価した。

 

【研究結果】

ビタミンB6、全粒粉類、加工肉、および家庭で調理した揚げ物は、認知機能に対し有意に線形的な傾向を有していた。

ビタミンB6と全粒粉類の摂取量は、年齢、人種、性別、総カロリー摂取量を補正してなお、認知機能の改善に直接的な影響を与えていた。

一方、加工肉および家庭で調理した揚げ物は、粗集計と調整済みのいずれにおいても一貫して認知機能との逆相関を示した。

 

【結論】

本研究により、青年期の食生活が中年期以降の認知機能に影響を与えることが示唆された。

食生活と認知機能には強い相関が認められたが、それらは観察研究によるものであり、さまざまな交絡が生じている可能性も排除できないことには注意が必要であろう。

 

キーワード:食事、栄養、認知、脳の健康、認知機能

話題:食事,認知,食品, ミドル世代, 栄養科学, ビタミンB6,認知機能,全粒粉, 揚げ物, ボガルーサ心臓研究,加工肉.

研究領域:栄養疫学, 公衆衛生

URL: https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/109/6/1656/5479238?redirectedFrom=fulltext

考察

今回の研究の結果では、

  • 青年期の食生活が中年期以降の認知機能に影響を与えることが示唆された。
  • ビタミンB6と全粒粉類の摂取は、認知機能の改善に影響を与えていた。
  • 加工肉および家庭で調理した揚げ物は、認知機能を低下させた。

というものでした。

 

まず認知機能改善要素となったもので、ビタミンB6があります。

ビタミンB6とは。食事摂取基準2020対応かんたん要点まとめでも紹介していますが、ビタミンB6には神経伝達物質の合成という働きがあります。

これが認知症の予防に影響するということなのだと思います。

 

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ちなみにビタミンB6ってこんなビタミンです。

ビタミンB6

  • 水溶性ビタミンでビタミンB群のひとつ
  • たんぱく質・脂質代謝、免疫機能の正常化、ヘモグロビン・神経伝達物質合成・インスリンの合成、皮膚・髪・歯などの健康を保つなどの働きがある。
  • 推奨量は、成人男性で1.4mg/dl、成人女性で1.1mg/dl。
  • 欠乏症にはなりにくいが、抗生剤などの使用により体内合成が妨げられると欠乏することがあり、皮膚炎・神経障害・貧血・虫歯などの症状がある。
  • 過剰症は通常の食品からの摂取ではほとんど問題なし。サプリメントなどによる過剰症はあり、吐き気・嘔吐・食欲不振・頭痛・神経障害などの症状がある。
  • レバー、豚肉、青魚などに多く含まれている
 
続いて全粒粉についてです。

 

全粒粉とは、小麦粉の一種。小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたものです。

胚乳だけを用いる通常の小麦粉と比べ栄養価が高く、薄力粉と比較して3倍程度の食物繊維や鉄分を含み、ビタミンB1の含有量も高いものとなります。

 

認知症との関連性というところでは、動脈硬化や生活習慣病の予防という面が大きく関わっていると考えます。

 

糖尿病や動脈硬化などの状態は、認知症の発症の原因になるということが報告されています。

食物繊維や他の微量元素がそういった部分を予防することで認知症予防に効果をもたらすということなのでしょう。

 

認知症のリスクとなりうるという結果であった加工肉および家庭で調理した揚げ物も、生活習慣病を中心とした状態に関連する部分が大きいんだろうなと感じました。

 

糖尿病ネットワークでは、認知症予防の食事療法について「マインドダイエット」という考え方を紹介しています。

アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という毒性の高いタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が障害を受け、神経細胞が死んでいくことで引き起こされると考えられている。

生活スタイルや環境、遺伝的な要因などが発症に関与するが、食習慣も重要な要因となる。

 「マインド ダイエット」は、米ラッシュ大学の栄養疫学部が開発した食事スタイルで、健康的な食事として知られる「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」の長所を組み合せたものだ。  

「地中海式ダイエット」は、野菜・果物・豆類などの植物性食品と、地中海地域の特産のオリーブオイル、新鮮な魚介類などを組み合わせた食事スタイルで、肥満やメタボの予防効果があることが知られる。

一方、「DASHダイエット」は高血圧の予防・改善のために開発された食事スタイルで、玄米や全粒パンなどの全粒穀物や、低脂肪の肉や乳製品、ナッツや豆類などを積極的にとることが勧められている。

 2つの食事法のハイブリッドである「マインド ダイエット」は、「地中海食とDASH食による神経変性を遅延させるための介入」」(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)の頭文字をとって「マインド」(MIND)と名付けられた。

10種類の良い食品と5種類の悪い食品

 「マインド ダイエット」の方法はシンプルで、10種類の健康に良い食品を積極的にとり、5種類の健康に悪い食品をなるべく避けるというものだ。

 

  • 積極的にとりたい10種類の食品とは――
    ・ 葉菜類(キャベツ・ホウレンソウ・レタス・ケール・コマツナ・ハクサイなど)
    ・ 根菜類(ニンジン・トマト・ブロッコリー・カブ・ゴボウなど)
    ・ 豆類(大豆・インゲン・グリーンピースなど)
    ・ 全粒穀物(小麦の全粒粉や玄米など)
    ・ 不飽和脂肪酸の多い植物オイル(オリーブオイルなど)
    ・ 魚(マグロ、カツオ、サーモン、サバなど)
    ・ チキン(脂肪の多い皮の部分を取り除く)
    ・ ナッツ類(クルミ・アーモンド・ピスタチオなど)
    ・ ベリー
    ・ ワイン  

 

  • 反対になるべく控えた方が良い5種類の食品は次の通り――
    ・ 赤身肉
    ・ バター・マーガリン
    ・ チーズ
    ・ ペイストリーやケーキ、お菓子
    ・ 油で揚げた食品、ファストフード  

 

脂身の多い肉やバター・チーズなどの乳製品など動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、動脈硬化を進展させ脳の健康にも悪いので、なりべく控えた方が良い。  

今回の研究は介入試験ではないので、「マインド ダイエット」の効果については今後の研究で確かめる必要があるが、研究者は糖尿病、高血圧、肥満などの改善にも役立つ食事スタイルとみている。

 

「大崎コホート研究」では、日本食を多く摂っている人では認知症の発症が少ないことが、日本人を対象とした前向きコホート研究で明らかになっている。

総じて言えることは、健康的な食生活をおくり、適正体重の維持や生活習慣病予防などに努めることが、認知症予防にも効果があるということです。

 

やはり食事って大切ですね。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。

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