
こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。
いきなりですが、皆さんはこんな経験ないですか?

海で食べるオニギリうめぇ!いつもより食べすぎちゃうぜ!

嫌なことがあって・・・食欲でないな・・・
・・・あると思います!
このように食事と心理状態は密接に関係しています。
摂取量(どの程度食べるか)、食味評価(おいしいか)、食品選択(何を食べるか)に関わる意思決定は、食品だけでなく様々な環境・状況要因によっても変化します。
今回はそんな食行動に関連する心理学について説明していきます。
食事に影響のある環境・状況要因を確認し、メニューの価値向上や食に関わる問題の解決の一助にしてみて下さい。
食行動に影響を及ぼす「食品以外の要因」
選択肢
Q.なぜ同じ食品なのに選択肢があるとおいしさに変化がでるの?
A.「認知的不協和」を避けるため
もしおいしくなかったら自分の選択が誤りであったこととなり、認知的な不快感が生じる為、それを避けるために無自覚的においしいと感じる。
BGM
- 楽しさやリラックスなどポジティブな気分は、食事時間や摂取量の増加に寄与する。
- 騒がしい音楽やテレビでも摂取量は増加するものの、その心理的要因は気分変容ではなく、「過覚醒」による早食いや「注意分散」による摂取量モニタリングの欠如が原因とされる。
メニュー名
- 直感的な連想系・・・レストランで「おすすめメニュー」を注文
- 熟考的な審議系・・・各メーカーのカタログを比較してパソコンを購入
子どもに野菜・果物を食べてもらうには?
アクセシビリティ(手に取りやすさ)
①他の料理よりも先に提供する
②食べるための手間を減らす
単純接触効果
①食べる前に料理や食卓環境に慣れさせておく。
②野菜、果物を子供の「安心できる」定番メニューにする。
幼児は、事前に新奇食物を目にする機会を増やすと摂取意志が向上するという研究報告があります。
覚醒度(arousal level)
- 意識の沈静~覚醒の度合い。
- 人は覚醒度が「適度に高い」場合に行動パフォーマンスが高くなり、覚醒度が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは低下する。(ヤーキス・ドットソンの法則)
- 人は自分の覚醒度が適度になるよう周囲の環境を無自覚に調整する傾向がある。

単純接触効果を利用して、食物新奇性恐怖をなくそう!
高齢者の食品摂取量を増やすには?
高齢者では先行期(食品の認知)の障害により食事が食べられなくなる方が少なくありません。
注意や記憶の障害などにより、目の前にあるものが食物であることや、その残量、食事の時間であること、食べ方などがわからなくなるためです。
アルツハイマー型認知症などは、咀嚼・嚥下機能自体は維持されている場合も多いので、先行期の障害に対する適切な支援が重要です。
食事に対する認識を高めるための工夫例
①食べ物がそこにあることがわかるようにする
- 食器との色、明るさのコントラストをだす
- テーブルクロス、照明によるコントラストをだす
②食事の時間であることがわかるようにする
- パンやコーヒーの準備をダイニングで行う事で食事の摂取量が増加した。⇒トーストやコーヒーの香りが食事の「てがかり」となった。
- ダイニングに食事時間を明示した時計を設置することで、食事に関する忘却が減少した。
食行動の心理学を活用する際の留意点
①残留リスクに注意する
残留リスクとは危機管理用語で、特定の防止策を実施した際に、その防止策では防ぎきれないリスクや新たに生じるリスクの総称です。
例えば、多数派の感じ方や考えに基づいた食卓環境の「改善」が、少数派には「改悪」になってしまう可能性もあるわけです。
改善案を考える際には、期待される効果だけでなく、残留リスクも必ずリストアップしましょう。
②「あの人に」「すぐに」効果があるかはわからない
AよりもBの方が摂取量が多いという結果は、2条件の平均値の差について統計的検定に基づいています。
あくまで「多くの人に何度も繰り返した場合の平均値」の話であり、全員に効果があるわけではないし、特定個人に効果があるかはわかりません。
また1回目ですぐに効果を実感できるかもわからないのです。
「平均的」に効果があればいいのか、「特定個人」に効果を出したいのか問題解決の範囲を見極めることが重要です。また1回のみで結論を出さずに何回か試して継続観察することも大切です。

注意点を意識しながら、上手に心理学を食事に活用していきましょう。
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