
こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回は脂質について基礎的な知識を中心にまとめてみました。

脂質の働き

脂質には、バターやラード(豚脂)、牛脂(ヘット)などに多く含まれる動物性脂肪、青魚などに多く含まれる魚油、そして菜種(キャノーラ)油や紅花(サフラワー)油、オリーブ油に代表される植物油があります。
体内に取り込まれた脂質は、胆嚢から分泌される胆汁酸、十二指腸の消化酵素リパーゼによって、グリセロール(グリセリン)と脂肪酸に分解されます。
これらは小腸で吸収され、再合成され、エネルギー源、あるいは脂肪として蓄えられ体温の維持に働きます。
脂質の種類
脂質の主な構成成分である脂肪酸は、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とに分類されます。
飽和脂肪酸
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
<代表的な食材>
肉、牛乳、バター、卵黄、チョコレート、ココアバター、ココナッツ、パーム油
飽和脂肪酸は、陸上の動物の脂肪に多く含まれています。常温で個体のものが多いというのも大きな特徴です。
≪体内での働き≫
体内ではコレステロール値を上昇させ血液を流れにくくするため、世界保健機構では多量の飽和脂肪酸の摂取は心血管疾患(心筋梗塞など)のリスクを高めるとしています。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸とは、1つ以上の不飽和の炭素結合をもつ脂肪酸のことをいいます。
不飽和脂肪酸は常温で液体です。
不飽和脂肪酸には、
植物油に含まれるオレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸
青魚の脂肪に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)
などがあります。
不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
またオメガ3(n-3)系脂肪酸、オメガ(n-6)系脂肪酸、オメガ9(n-9)系脂肪酸にも分類されます。
一価不飽和脂肪酸
オレイン酸(オメガ9系脂肪酸)
<代表的な食材>
オリーブ油、サフラワー油、ひまわり油、菜種油、ナッツ類
一価不飽和脂肪酸とは、不飽和結合を1個もった脂肪酸です。オメガ9系脂肪酸がこれにあたります。
≪体内での働き≫
一価不飽和脂肪酸は、動脈硬化の原因となる悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールは減らさないという特徴があります。
多価不飽和脂肪酸
(オメガ6系脂肪酸)リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸 (オメガ3系脂肪酸)αーリノレン酸、EPA、DHA
<代表的な食材>
(オメガ6系脂肪酸)大豆油、コーン油
(オメガ3系脂肪酸)魚油、えごま油、菜種油
多価不飽和脂肪酸は、不飽和結合を2個以上もった脂肪酸です。
オメガ3系脂肪酸やオメガ6系脂肪酸がこれにあたります。植物油や魚に多く含まれています。
≪体内での働き≫
オメガ6系脂肪酸:細胞膜などの材料になります。また悪玉コレステロールを減らしますが、とりすぎると善玉コレステロールも減少させてしまいます。また過剰摂取は肥満、動脈硬化、アレルギー症状を起こす物質の合成を増やして症状を悪化させたりするといわれています。
オメガ3系脂肪酸:細胞膜などの材料になります。善玉コレステロールを増やしたり、血栓ができるのを防いだりするため、動脈硬化の予防につながります。
必須脂肪酸
必須脂肪酸とは、「体内で他の脂肪酸から合成できないために食べ物から摂取しなければならない脂肪酸」のことをいいます。
オメガ3系脂肪酸やオメガ6系脂肪酸はこの必須脂肪酸にあたります。
不足しないようにしっかり摂りましょう。
脂質の必要量

脂質の必要量は、日本人の食事摂取基準2015に準拠します。
●脂質摂取比率は20-30%エネルギーとし、飽和脂肪酸は7%エネルギー以下とします。
私が患者さんの必要脂質量を計算する時は、
まず必要栄養量を決定して、脂質異常症等の疾患を持っていなければ25%エネルギー、脂質異常症がある場合は20%エネルギー、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪時に50%エネルギーを基本に微調節することが多いです。
特別な疾患がなければ、25%エネルギーで大きくずれることはないと思います。
1800kcal×0.25(25%)÷9g/kcal=50g
A.50g
といった感じです。
まとめ
今回は脂質についてまとめてみました。
ポイントは次の通りです。
- 脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。
- 不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸などがある。
- 不飽和脂肪酸には、オメガ3系、6系、9系脂肪酸といった分け方もある
- 体内で合成出来ない脂肪酸を必須脂肪酸といい、食事でとらなければいけない。オメガ3系と6系の脂肪酸は必須脂肪酸である。
脂質はダイエットしている人にとって敵のイメージがありますが、体に必要なものなので極端に控えるのは私はあまりお勧めしません。
脂質も上手に摂って、健康ライフを送っていきましょう。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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