食事摂取基準2020の改定ポイントまとめ

栄養基礎知識
てんぱぱぱ
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こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

前回の記事「新年度開始!食事摂取基準2020への対応は大丈夫?」で食事摂取基準2020について簡単にふれましたが、今回は改定ポイントについてまとめます。

「食事摂取基準2020を全部読むのは大変!」「改定ポイントや要点だけ知りたい!!」という方、是非こちらの記事を参考にしてみて下さい。

日本人の食事摂取基準2020年版の主な改定ポイント

「日本人の食事摂取基準2020年版」は高齢社会の更なる進展を踏まえて、高齢者の低栄養・フレイル予防を新たに視野に入れて策定されました。

策定方針

◎策定の目的に「高齢者の低栄養・フレイル予防」が追加されました。

<2015年版>

健康の保持・増進
生活習慣病の発症予防
生活習慣病の重症化予防
 
≪2020年版≫
健康の保持・増進
高齢者の低栄養予防・フレイル予防
生活習慣病の発症予防・重症化予防

●対象については以下のように紹介されています。

対象とする個人及び集団の範囲としては、高齢者においてのフレイルに関する危険因子を有したりしていても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成されている集団は含むものとする。

具体的には、歩行や家事などの身体活動を行っている者であり、体格(BMI)が標準より著しく外れていない者とする。

 

●フレイルとは?

フレイルについては、現在のところ世界的に統一された概念は存在せず、

①フレイルを健康状態と要介護状態の中間的な段階に位置づける考え方

②ハイリスク状態から重度障害状態までをも含める考え方

がある。

食事摂取基準においては、食事摂取基準の対象範囲を踏まえ、①の考え方を採用している。

 

●たんぱく質、カルシウム、ビタミンD等にフレイル予防の記載が追加されました。

たんぱく質・・・報告を紹介、フレイル改善のためのたんぱく質量について結論は出ていない。
カルシウム・・・フレイルに関係すると考えられるが予防のための量を設定するには根拠不足。
ビタミンD・・・骨折予防に寄与している可能性が考えられる。フレイル予防を目的とした量を設定するには科学的根拠がない。日光浴を心がけることを推奨。

年齢区分

●高齢者の年齢区分が変更され、前期高齢者と後期高齢者が区分されました。

2015年版2020年版
年齢(歳)年齢(歳)
18~2918~29
30~4930~49
50~6950~64
70以上65~74
75以上

目標BMI

●フレイル予防を考慮し、65~69歳の目標とするBMIの範囲の下限が引き上げられました。

2015年版2020年版
年齢(歳)目標とするBMI(kg/㎡)年齢(歳)目標とするBMI(kg/㎡)
18~4918.5~24.918~4918.5~24.9
50~6920.0~24.950~6420.0~24.9
70以上21.5~24.965~7421.5~24.9
75以上21.5~24.9

たんぱく質

●フレイル及びサルコぺニアの発症予防を考慮し、50歳以上の目標量の下限値が引き上げられました。

2015年版2020年版
年齢(歳)目標量(%エネルギー)年齢(歳)目標量(%エネルギー)
18以上13~20(中央値16.5)18~4913~20
50~6414~20
65以上15~20

ナトリウム(食塩相当量)

●食塩相当量の目標量が0.5g引き下げられました。

2015年版2020年版
性別目標量(食塩相当量g/日)性別目標量(食塩相当量g/日)
男性8.0男性7.5
女性7.0女性6.5

●高血圧・CKD(慢性腎臓病)重症化予防のための量が追加されました。

高血圧及びCKDの重症化予防のための食塩相当量の量は男女とも6.0g/日未満とした。

 

●高齢者の極端なナトリウム制限(減塩)は注意が必要です。

高齢者では食欲低下があり、極端なナトリウム制限はエネルギーやたんぱく質を始め多くの栄養素の摂取量の低下を招き、フレイルにつながると考えられる。

したがって、高齢者におけるナトリウム制限(減塩)は、健康状態、病態及び摂取量全体を見て弾力的に運用すべきである。

コレステロール

●脂質異常症の重症化予防を目的とした量が新たに設定されました。(飽和脂肪酸の脚注に記載)

脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい。

ビタミンD

●目安量が引き上げられました。

2015年版2020年版
年齢(歳)目安量(μg/日)年齢(歳)目安量(μg/日)
18以上5.518以上8.5

●日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、適度な日照を心がけ、ビタミンD摂取においては日照時間を考慮に入れることが重要である。

クロム

●耐容上限量が新たに策定されました。

2020年版
年齢(歳)耐容上限量(μg/日)
18以上500

目標量

●食事摂取基準を利用する専門職等の理解の一助となるよう、目標量のエビデンスレベルが新たに設定されました。

エビデンスレベル数値の策定に用いられる根拠栄養素
D1

介入研究又はコホート研究のメタ・アナリシス、並びにその他の介入研究又はコホート研究に基づく

たんぱく質、飽和脂肪酸、食物繊維、ナトリウム(食塩相当量)、カリウム
D2複数の介入研究又はコホート研究に基づく
D3日本人の摂取量等分布に関する観測研究(記述疫学研究)に基づく脂質
D4他の国・団体の食事摂取基準又はそれに類似する基準に基づく
D5その他炭水化物

日本人の食事摂取基準2020年版 抜粋

18歳以上で2015年版と数値が変更になっているものを赤字で記しますので確認しておきましょう

推定エネルギー必要量(kcal/日)

性別男性女性
身体活動レベル
18~29230026503050170020002300
30~49230027003050175020502350
50~64220026002950165019502250
65~74205024002750155018502100
75以上1800210014001650

たんぱく質(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量:%エネルギー)

 

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量目標量推定平均必要量推奨量目標量
18~49506513~20405013~20
50~64506514~20405014~20
65以上506015~20405015~20

●目標量(%エネルギー)の範囲に関しては、おおむねの値を示したものであり、弾力的に運用すること

●65歳以上の高齢者について、フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。

この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい。

飽和脂肪酸(%エネルギー)

年齢(歳)目標量(%エネルギー)
18以上7以下

●飽和脂肪酸と同じく、脂質異常症及び循環器疾患に関与する栄養素としてコレステロールがある。

コレステロールに目標量は設定しないが、これは許容される摂取量に上限が存在しないことを保証するものではない。

また、脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい

 

●飽和脂肪酸と同じく、冠動脈疾患に関する栄養素としてトランス脂肪酸がある。

日本人の大多数は、トランス脂肪酸に関するWHOの目標(1%エネルギー未満)を下回っており、トランス脂肪酸の摂取による健康への影響は、飽和脂肪酸の摂取によるものと比べて小さいと考えられる。

ただし、脂質に偏った食事をしている者では留意する必要がある。

トランス脂肪酸は人体にとって不可欠な栄養素ではなく、健康の保持・増進を図る上で積極的な摂取は勧められないことから、その摂取量は1%エネルギー未満でもできるだけ低く留めることが望ましい。

n-6系脂肪酸(g/日)

性別男性女性
年齢(歳)目安量目安量
18~29118
30~64108
65~7498
75以上87

n-3系脂肪酸(g/日)

性別男性女性
年齢目安量目安量
18~292.01.6
30~492.01.6
50~642.21.9
65~742.22.0
75以上2.11.8

炭水化物(%エネルギー)

年齢(歳)目標量
18以上50~65

●目標量の範囲に関しては、おおむねの値を示したものである。

●炭水化物にはアルコールを含む。ただし、アルコールの摂取を勧めるものではない。

食物繊維(g/日)

性別男性女性
年齢(歳)目標量目標量
18~4921以上18以上
50~6421以上18以上
65~7420以上17以上
75以上20以上17以上

エネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)

 目標量
年齢たんぱく質脂質炭水化物
脂質飽和脂肪酸
18~4913~2020~307以下50~65
50~6414~2020~307以下50~65
65以上15~」2020~307以下50~65

●必要なエネルギー量を確保した上でのバランスとすること。

●範囲に関しては、おおむねの値を示したものであり、弾力的に運用すること。

●たんぱく質は、65歳以上の高齢者についてフレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。

この場合でも下限は推奨量以上とすることが望ましい。

●脂質については、その構成成分である飽和脂肪酸など、質への配慮を十分に行う必要がある。

●炭水化物にはアルコールが含まれる。ただし、アルコールの摂取を勧めるものではない。

食物繊維の目標量を十分に注意すること。

ビタミンA(μgRAE/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~2960085027004506502700
30~6465090027005007002700
65~7460085027005007002700
75以上55080027004506502700

●レチノール活性当量(μgRAE)

=レチノール(μg)+βカロテン(μg)×1/12+αカロテン(μg)×1/24+βクリプトキサンチン(μg)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)×1/24

●推奨量には、プロビタミンAカロテノイドを含む

●耐容上限量には、プロビタミンAカロテノイドを含まない

ビタミンD(μg/日)

年齢(歳)目安量耐容上限量
18以上8.5100

●日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図るものはもとより、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲での適度な日光浴を心がけるとともに、ビタミンDの摂取量については、日照時間を考慮にいれることが重要である。

ビタミンE(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)目安量耐容上限量目安量耐容上限量
18~296.08505.0650
30~496.09005.5700
50~647.08506.0700
65~747.08506.5650
75以上6.57506.5650

●ビタミンEは、αトコフェロールについて算定した。αトコフェロール以外のビタミンEは含んでいない。

ビタミンB1(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量推定平均必要量推奨量
18~491.21.40.91.1
50~741.11.30.91.1
75以上1.01.20.80.9

●ビタミンB1はチアミン塩化物塩酸塩(分子量=337.3)の重量として示した。

●身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した。

●推定平均必要量は、ビタミンB1の欠乏症である脚気を予防するに足る最小必要量からではなく、尿中にビタミンB1の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定した。

ビタミンB2(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量推定平均必要量推奨量
18~491.31.61.01.2
50~741.21.51.01.2
75以上1.11.30.91.0

●ビタミンB2は、身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した。

●推定平均必要量は、ビタミンB2の欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎などの皮膚炎を予防するに足る最小量からではなく、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定した。

ナイアシン(mgNE/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~291315300(80)911250(65)
30~491315350(85)1012250(65)
50~641214350(85)911250(65)
65~741214300(80)911250(65)
75以上1113300(75)910250(60)

●ナイアシン当量(NE)=ナイアシン+1/60トリプトファンで示した。

●ナイアシンは、身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した。

●耐容上限量:ニコチンアミドの重量(mg/日)、(   )内はニコチン酸の重量(mg/日)。

ビタミンB6(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~291.11.4551.01.145
30~491.11.4601.01.145
50~641.11.4551.01.145
65以上1.11.4501.01.140

●ビタミンB6は、たんぱく質の推奨量を用いて算定した。

●耐容上限量はピリドキシン(分子量=169.2)の重量として示した。

パントテン酸(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)目安量目安量
18~4955
50以上65

葉酸(μg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~29200240900200240900
30~6420024010002002401000
65以上200240900200240900

●葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸(分子量=441.40)の重量として示した。

●耐容上限量は、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)に適用する。

ビタミンC(mg/日)

年齢(歳)推定平均必要量推奨量
18~6485100
65以上80100

●ビタミンCは、Lアスコルビン酸(分子量=176.12)の重量として示した。

●推定平均必要量は、ビタミンCの欠乏症である壊血病を予防するに足る最小量からではなく、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用の観点から算定した。

ナトリウム(mg/日)、(  )は食塩相当量(g/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量目標量推定平均必要量目標量
18以上600(1.5)(7.5未満)600(1.5)(6.5未満)

●高血圧及び慢性腎臓病(CKD)重症化予防のための食塩相当量の量は、男女とも6.0g/日未満とした。

カルシウム(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~2965080025005506502500
30~7460075025005506502500
75以上60070025005006002500

マグネシウム(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~29280340230270
30~64310370240290
65~74290350230280
75以上270320220260

●通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350mg/日とした。それ以外の通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定していない。

亜鉛(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~29911407835
30~64911457835
65~74911407835
75以上910406830

鉄(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量月経なし月経あり耐容上限量
 推定平均必要量推奨量推定平均必要量推奨量
18~296.57.5505.56.58.510.540
30~496.57.5505.56.59.010.540
50~646.57.5505.56.59.011.040
65~746.07.5505.06.040
75以上6.07.0505.06.040

銅(mg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18以上0.70.970.60.77

セレン(μg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~7425304502025350
75以上25304002025350

クロム(μg/日)

年齢(歳)目安量耐容上限量
18以上10500

モリブデン(μg/日)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量耐容上限量推定平均必要量推奨量耐容上限量
18~2920306002025500
30~6425306002025500
65~7420306002025500
75以上20256002025500

 

日本人の食事摂取基準2020の書籍を紹介

日本人の食事摂取基準2020について詳細を知りたい方は、まずは厚生労働省が出しているこちらの食事摂取基準2020の原本を読み込んでみて下さい。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
 

こちらを読み込めば、食事摂取基準2020の内容は十分に理解できるように作られていますし、とても勉強になります。

しかし中には

もっともっと内容を掘り下げて知識を深めたい!

とか、

もっとわかりやすく説明されてないと分かんないよ・・・

なんて人もいると思います。

 

そのような方はこちらの本がお勧めです。


日本人の食事摂取基準〈2020年版〉

 

本書の内容
検討会により策定された報告書全文のほか、本書オリジナル資料として、
1.「日本人の栄養所要量、食事摂取基準の沿革」
2.「食事摂取基準を正しく活用するために」
が掲載されています。

 

こちらの書籍の監修をしているのは、伊藤貞嘉(いとうさだよし)先生佐々木敏(ささきさとし)先生です。

この二人、食事摂取基準の「日本人の食事摂取基準」策定検討会の構成メンバーであり、策定会の座長なども任された、「食事摂取基準の生みの親」といっても過言ではない方々です。

 

伊藤 貞嘉(いとう さだよし)先生は、東北大学の名誉教授です。 専門は腎臓、高血圧、内分泌学で東北大学医学博士。最近では令和元年度秋の褒章にて、紫綬褒章を受章しています。

佐々木 敏(ささき さとし)先生は、東京大学大学院医学系研究科社会予防 疫学分野教授・女子栄養大学客員教授で専門分野は栄養疫学です。
どちらも非常に著名な先生です。
 
又こちらの書籍は口コミも非常に好評価です。
 
5つ星のうち5.0 眼から鱗
2020年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 
5星のうち5.0 管理栄養士のバイブル
2020年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これからの栄養指導には必要な書籍です。何回も読み直し、栄養指導に使える言葉に翻訳楽しくてたまりません!
 
食事摂取基準2020を極めたい方は、是非読んでみて下さいね。


日本人の食事摂取基準〈2020年版〉

コメント

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