慢性腎臓病(CKD)の運動療法 新たな腎臓リハの考え方

病院栄養士の仕事
てんぱぱぱ
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こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

今回は腎臓リハビリテーションについてのお話です。

 

これまでの慢性腎臓病(CKD)の方の治療の考え方として、運動制限というのが原則としてありました。

しかし、最近ではこの運動療法の考え方が見直されてきています。

これからのCKD患者の運動療法の考え方についてご紹介していきましょう。

 

腎臓リハビリテーション

サルコぺニア予防・フレイル予防・治療のターゲット臓器の目指すべきゴールは、骨格筋とその機能維持です。

骨格筋量、筋力、身体機能はたんぱく質摂取量に強い関連があるため、たんぱく質の重要性が注目されています。

  • サルコペニアとは、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態。
  • フレイルとは、加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態(虚弱)。移動能力、筋力、バランス、運動処理能力、認知機能、栄養状態、持久力、日常生活の活動性、疲労感など、非常に広い要素が含まれる。

 

腎臓リハビリテーションの栄養管理

栄養管理は腎臓リハビリテーション(以下、腎臓リハ)の基本的構成要素であり、重要な役割を担っています。

腎臓リハの定義は、次の通りに説明されます。

腎臓リハビリテーションの定義

<目的>
腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善する

<内容>
運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラム

保存期CKD患者では、腎機能低下予防としてのたんぱく質摂取制限があり、これがサルコぺニア・フレイルを招きやすい理由の一つになっています。

低栄養が存在すると、サルコぺニアに繋がり、活力低下、筋力低下・身体機能低下を誘導し、活動度、消費エネルギー量の減少、食欲低下をもたらし、さらに栄養不良状態を促進させるというフレイル・サイクルが構築されます。

フレイル・サイクル

引用:フレイル・サイクル ー アクティブシニア「食と栄養」研究会
https://activesenior-f-and-n.com/frail/outline.html

 

基本的に十分なエネルギー摂取量の確保が不可欠であり、良質なたんぱく質・アミノ酸(ロイシンなどの必須アミノ酸)、ビタミンD、カルシウムなどの摂取も重要です。

エネルギーが不足すると、身体中のたんぱく質が分解されエネルギー源になり(異化作用)、体内の尿素窒素が増える為、たんぱく質を多く食べたことと同じ状態になり、保存期CKD患者ではたんぱく質を制限する意味がなくなってしまいます。

尿素窒素が体内に多く溜まってしまうと、腎臓は尿素窒素を排泄しようと働き続けなければならず、大きな負担になるのです。

たんぱく調整ごはん・パン・餅・でんぷん加工製品など、治療用特殊食品も市販されているので、積極的に利用しましょう。

 

一方で、CKD患者では、栄養治療として工夫された食事を摂取しても、摂取したたんぱく質やアミノ酸は筋蛋白の合成には利用されにくいという課題があります。

筋蛋白合成の最大の刺激因子は運動であり、これがなければ筋蛋白としてではなく体脂肪として蓄積され、窒素は尿素に分解されてしまいます。

CKD患者に栄養治療を行う際には、適切な運動量を確保することがきわめて重要です。

 

腎臓リハビリテーションの運動療法

運動療法は、透析患者に対して運動耐容能改善、骨格筋量・筋力改善、Protein-Energy Wasting(PEW)改善、たんぱく質異化抑制、QOL改善などをもたらすことが明らかになっています。

 

CKD患者においても、身体活動の低下は心血管疾患による死亡のリスクであり、合併症などの身体状況の許すかぎり、定期的施行が推奨されます。

最近になって、保存期CKD患者に運動療法を行うことで腎機能(eGFR)が改善するという報告が相次いでいます。

腎臓リハにより、サルコぺニアやフレイルの予防・治療とともに、腎機能の改善や腎機能低下速度の遅延を果たすことで、保存期CKD患者の透析導入を先延ばしすることが出来る可能性があります。

 

<これまでのCKD患者:運動制限

保存期CKD患者

  • 腎機能を悪化させないため安静

CKD透析患者

  • 透析前後は疲労が出やすいため安静

 

<これからのCKD患者:運動療法

保存期CKD患者

  • 運動療法では腎機能は悪化しない、むしろ改善する
  • 透析移行を防止するための治療法の1つとして運動療法が必要
  • 運動療法は心血管疾患の予防に有効
  • サルコぺニア・フレイル・Protein-Energy Wasting(PEW)予防に有効

CKD透析患者

  • 運動療法で透析効率が改善する
  • ADLの改善、降圧薬・心不全治療費の減少のための治療法の1つとして運動療法が必要
  • 運動療法は心血管疾患の予防に有効
  • サルコぺニア・フレイル・Protein-Energy Wasting(PEW)予防に有効

※Protein-Energy Wasting(PEW)とは、CKDに伴った蛋白質とエネルギー源の貯蔵が減少した栄養障害

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