
こんにちは。男管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回はマグネシウムについてポイントをまとめていきたいと思います。
こちらの内容は、「日本人の食事摂取基準2020年版」と「日本ニュートリション教会 サプリメントアドバイザー資料」等から要点をまとめています。
マグネシウム(Mg)とは
マグネシウム(Mg)とは多量ミネラルのひとつで、原子番号12、元素記号Mgの金属元素です。
生体内には約25gのマグネシウムが存在しており、その50~60%は骨に存在しており、残りの40%は筋肉や脳、神経に存在しています。
骨や歯の形成並びに多くの生体内の酵素反応やエネルギー産生に寄与しています。
働き
主な働き
- 血液を固まりにくくする。(血小板の凝集を抑制する)
- 体温の調整を行う。
- 血圧を正常に保つ。(血管を拡張させて血圧を下げる)
- 腎臓や血管壁へのカルシウムの沈着を防ぐ。
- 抗ストレス作用がある。(神経と筋肉の意昨日や興奮を正常に整えることで精神を和らげる)
- カルシウムと共に骨を強化し、歯のエナメル質を作る。
- 糖質や脂質のエネルギー代謝を促進する。
- 神経と筋肉が効果的に働くのを助ける。
- コレステロールや中性脂肪を低下させる。
- カリウムと協力して心臓のリズムを整える。
- インスリンの分泌をコントロールする。
こんな人におすすめ
- ストレスが多い人
- 牛乳やアルコールを多く飲む人や利尿剤を服用している方(マグネシウム排泄量が多くなるため)
- 高血圧や動脈硬化が気になる人
- 骨や歯を強くしたい人
- 腎臓結石が気になる人(コレステロール沈着を防ぎコレステロール結石が出来るのを防ぐ)
消化、吸収、代謝
マグネシウムの吸収は主に小腸で行われ、腎臓で排泄されます。
マグネシウムの腸管からの吸収率は、成人で平均摂取量が300~350mg/日の場合は約30~50%であり、摂取量が少ないと吸収率は上昇します。
血清中のマグネシウム濃度は1.8~2.3mg/dlに維持されており、マグネシウムが欠乏すると腎臓からのマグネシウムの再吸収が促進されると共に、骨からマグネシウムが遊離し利用されます。
必要量(日本人の食事摂取基準2020年版)
日本人の食事摂取基準2020では、マグネシウムについて推定平均必要量、推奨量(0才児は目安量)が設定されています。
耐容上限量は、通常の食品からの摂取については設定されていません。しかし通常の食品以外(サプリメントなど)からの摂取量では、成人の場合で350mg/日、小児では5mg/㎏体重/日と設定しています。
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量。推定平均必要量を用いて算出される。
- 目安量:栄養状態を維持するのに十分な量。十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する。
- 耐容上限量:健康障害の危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
- 目標量:生活習慣病の予防を目的に目標とすべき摂取量。
成人男性
(18~29歳)
- 推定平均必要量:280mg/日
- 推奨量:340mg/日
(30~49歳)
- 推定平均必要量:310mg/日
- 推奨量:370mg/日
(50~64歳)
- 推定平均必要量:310mg/日
- 推奨量:370mg/日
(65~74歳)
- 推定平均必要量:290mg/日
- 推奨量:350mg/日
(75歳以上)
- 推定平均必要量:270mg/日
- 推奨量:320mg/日
成人女性
(18~29歳)
- 推定平均必要量:230mg/日
- 推奨量:270mg/日
(30~64歳)
- 推定平均必要量:240mg/日
- 推奨量:290mg/日
(65~74歳)
- 推定平均必要量:230mg/日
- 推奨量:280mg/日
(75歳以上)
- 推定平均必要量:220mg/日
- 推奨量:260mg/日
(妊婦 付加量)
- 推定平均必要量:+30mg/日
- 推奨量:+40mg/日
欠乏症
マグネシウムが欠乏すると、低マグネシウム血症となります。
低マグネシウム血症の症状には、吐き気・嘔吐・眠気・脱力感・筋肉の痙攣・ふるえ・食欲不振があります。
また長期のマグネシウムの不足が骨粗鬆症・心疾患・糖尿病のような生活習慣病のリスクを上昇させることが示唆されています。
主な症状
- 歯の形成不全
- 骨粗鬆症
- 筋肉の痙攣、ふるえ
- 疲労感、脱力感
- 高血圧
- 心疾患
- 不整脈、心臓発作
過剰症
マグネシウムは過剰に摂取しても過剰分は尿中に排泄されるので、通常強い毒性を示すことはありません。
しかし腎臓障害のある人は過剰にならないようにしましょう。
又食品以外からの過剰摂取では下痢を起こすことがあるので注意が必要です。

酸化マグネシウムは下剤としても使われていますね。
生活習慣病との関連
マグネシウムは生活習慣病に関連する研究結果が報告されています。
- 100mg/日のマグネシウム摂取量増加は収縮期/拡張期血圧を1.2/1.1mmHg低下させた
- 平均410mg/日のマグネシウム補充で収縮期/拡張期血圧が-0.32/-0.36mmHgと、僅かに低下した。
100mg/日のマグネシウム摂取量増加は、2型糖尿病の相対リスクを0.86に低下させた。
慢性腎臓病では、低マグネシウム血症(<1.8mg/日)を呈する患者は、死亡率が高く腎機能低下速度が速いという報告がある。
特に糖尿病腎症では血清マグネシウムが低下しやすい。
多く含む食品
マグネシウムの摂取源としては、種実類、海藻類、魚介類、大豆製品、精製していない穀類や緑黄色野菜、果物などが挙げられます。
主な食品
まとめ
今回はマグネシウムについて要点をまとめました。
要点は次の通りです。
- 多量ミネラルのひとつで、原子番号12、元素記号Mgの金属元素。
- 血液凝固抑制、体温・血圧・心拍・神経・筋肉・インスリン分泌等の調整、腎臓や血管でのカルシウム沈着防止、抗ストレス作用、骨・歯の強化、エネルギー代謝の促進などの働きがある。
- 推奨量は成人男性で320~370mg/日、成人女性で260~290mg/日。
- 欠乏すると低マグネシウム血症となり、吐き気・嘔吐・眠気・脱力感・筋肉の痙攣・ふるえ・食欲不振が起こる。また長期のマグネシウムの不足が骨粗鬆症・心疾患・糖尿病のような生活習慣病のリスクを上昇させることが示唆される。
- 過剰症として、食品以外からの過剰摂取では下痢を起こすことがある。
- 種実類、海藻類、魚介類、大豆製品、精製していない穀類や緑黄色野菜、果物などに多く含まれる。
マグネシウムはカルシウムとの摂取割合も重要です。
カルシウム:マグネシウムは2:1程度がいいといわれています。
バランスよく摂取することを心掛けていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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