
こんにちは。男管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回はリンについてポイントをまとめていきたいと思います。
こちらの内容は、「日本人の食事摂取基準2020」と「日本ニュートリション教会 サプリメントアドバイザー資料」等から要点をまとめています。
リン(P)とは
リン(P)とは多量ミネラルのひとつで、原子番号15、元素記号Pの金属元素です。
リンは、体内に含まれる量がカルシウムに次いで多いミネラルになります。
成人の生体内には最大850gのリンが存在しています。
14%・・・軟組織や細胞膜(筋肉、脳、神経、肝臓など)
1%・・・細胞外液
働き
リンは、カルシウムと共に骨格を形成するだけでなく、ATPの形成、その他の核酸や細胞膜リン脂質の合成、細胞内リン酸化を必要とするエネルギー代謝などに必須の成分です。
血清中のリン濃度の基準範囲は、2.5~4.5mg/dL(0.8~1.45mmol/L)となっています。これは、副甲状腺ホルモン(PTH)、繊維芽細胞増殖因子23(FGF23)、活性型ビタミンDによって主に調節されています。
主な働き
- 骨、歯などの硬組織をつくる。
- エネルギー代謝に必須。
- 神経刺激の伝達をする。
- 糖代謝、脂質代謝に必要。
こんな人におすすめ
- 骨粗鬆症を予防したい方(摂りすぎは逆効果になることもあるで摂取量には注意しましょう)
消化、吸収、代謝
リン酸の吸収は腸管で行われます。
消化管で吸収される一方で消化管液としても分泌されるため、みかけの吸収率は成人で60~70%です。
リン摂取量の増減がそのまま血清リン濃度と尿中リン排泄量に影響しています。
リンの摂取量が増えると、PTHとFGF23は腎臓の近位尿細管でのリンの再吸収を抑制し、尿中リン排泄量を増加させることで血清リン濃度を調節しています。
必要量(日本人の食事摂取基準2015)
日本人の食事摂取基準2020では、リンについて目安量、耐容上限量(18歳以上のみ)が設定されています。
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量。推定平均必要量を用いて算出される。
- 目安量:栄養状態を維持するのに十分な量。十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する。
- 耐容上限量:健康障害の危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
- 目標量:生活習慣病の予防を目的に目標とすべき摂取量。
成人男性
(18歳以上)
- 目安量:1000mg/日
- 耐容上限量:3000mg/日
成人女性
(18歳以上)
- 目安量:800mg/日
- 耐容上限量:3000mg/日
欠乏症
リンは様々な食品に含まれているため、通常の食事を摂取していれば欠乏することはあまりありません。
しかし重度のリン欠乏状態(低リン血症)となると、骨が弱くなったり、新陳代謝が低下したり、筋肉がだるくなったりします。
低リン血症は、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、甲状腺機能低下症などのホルモン性疾患や利尿薬の慢性使用などによって起こる場合もあります。
主な症状
- 食欲不振
- 筋力低下
- 骨軟化症
- 脱力感
- 溶血性貧血
過剰症
リンは様々な食品に含まれています。
加工食品などでは食品添加物としてのリンの使用も多いため過剰摂取になりやすいミネラルといえます。
リンを過剰に摂取すると、過剰なリンがカルシウムの吸収を阻害するため血液中のカルシウム濃度が低下します。
カルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンが働き、骨からカルシウムが動員されるため、骨の脆弱化につながる可能性があります。
主な症状
- 骨粗鬆症
- 副甲状腺機能亢進症

リンは不足しても過剰摂取しても骨にはよくないんですね。
リンの摂取量はカルシウムの摂取量との比率も重要で、
カルシウム:リン= 1 : 1
程度のバランスで摂取するのがよいといわれています。
生活習慣病との関連
リンは生活習慣病に関連する研究結果が報告されています。
- 血清リン濃度が高いほど、血圧が低下するという報告がある。
- リン摂取量が多いほど動脈硬化は進行するが、インスリン感受性が亢進し耐糖能が向上する。(マウスを用いた実験)
- メタボリックシンドローム対象者は健康人に比べ血清リン濃度が低く、メタボリックシンドロームの該当項目が増えるごとに血清リン濃度が低下する。(血清リン濃度の低下はメタボリックシンドロームの発症リスクを高めるという別の研究もあり)
- 糖尿病は血清リン濃度が高く、血清リン濃度が高いことは糖尿病のリスクになるのではないかという逆の報告もあり。
- 腎臓は、リンやカルシウムの代謝調節に重要な役割を果たしている。
早期CKD患者では、軽度の腎機能低下による相対的なリン負荷の増加に対し、代償性にFGF23やPTHが上昇することで単位ネフロン当たりのリン排泄量を増加させるが、これは腎機能のさらなる低下につながる。
FGF23やPTHの上昇はCKDの予後と相関することが知られているため、CKD早期からリンの負荷を制限することが望ましいと考えられている。
多く含む食品
リンは肉類・魚介類・卵類・大豆製品に多く含まれるほか、食品添加物として加工食品に含まれたり、清涼飲料水の酸味のもととしても使われています。
主な食品
まとめ
今回はリンについてまとめました。
要点は次の通りです。
- 多量ミネラルのひとつで、原子番号15、元素記号Pの金属元素。
- 骨、歯などの硬組織をつくる、エネルギー代謝(糖代謝・脂質代謝)、神経刺激の伝達などの働きがある。
- 推奨量は成人男性で1000mg/日、成人女性で800mg/日。耐容上限量は男女ともに3000mg/日。
- 欠乏すると低リン血症となり、食欲不振・筋力低下・骨軟化症・脱力感・溶血性貧血などがある。
- 過剰症として、骨粗鬆症・副甲状腺機能亢進症などがある。
- 肉類・魚介類・卵類・大豆製品に多く含まれるほか、食品添加物として加工食品に含まれたり、清涼飲料水の酸味のもととしても使われている。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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