
こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回はミネラルのひとつ、カリウムについてまとめていきます。
それでは、よろしくお願いします。
カリウムとは
カリウムとは、主要ミネラル(食事摂取基準では多量ミネラル)のひとつで、原子番号19、元素記号Kのアルカリ金属元素であり、人体には不可欠な電解質です。
生体内に約200g含まれていて、大部分は細胞内液にあります。
食べ物では、野菜や果物などに多く含まれていますが、加工や精製度が進むにつれて含量は減少します。
働き
カリウムは細胞内液の主要な陽イオン(K+)であり、ナトリウムと共に体液の浸透圧を決定する重要な因子です。
カリウムが増えると血液から細胞内に水分が移動して血圧がさがります。
またカリウムが減ると逆の作用が働き、血圧が上がります。
つまり、血圧はナトリウムとカリウムの量で調整されているといえます。
日本人は、ナトリウムの摂取量が諸外国に比べて多いため、ナトリウムの摂取低下に加えて、ナトリウムの尿中排泄を促すカリウムの摂取が重要であると考えられます。
その他にも、酸・塩基平衡を維持したり、神経や筋肉の興奮伝導にも関与しています。
主な働き
- ナトリウムと一緒に体液の浸透圧を決定し、体の水分バランスを保つ
- 血圧を下げるのを助ける
- 利尿作用がある(腎臓での老廃物排泄促進)
- 心臓の規則的な鼓動を保つ
- 疲労感、脱力感を防ぐ
こんな人におすすめ
- 高血圧や脳卒中を予防したい人
- 浮腫みが気になる人
- 塩分の取りすぎが気になる人
消化、吸収、代謝
カリウムは小腸で吸収された後、全身に運ばれ、大部分は腎臓で排泄されます。
また汗としても排泄されます。
必要量(日本人の食事摂取基準2020年版)
日本人の食事摂取基準2020では、カリウムについて、目安量と目標量を設定しています。
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量。推定平均必要量を用いて算出される。
- 目安量:栄養状態を維持するのに十分な量。十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する。
- 耐容上限量:健康障害の危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
- 目標量:生活習慣病の予防を目的に目標とすべき摂取量。
成人男性
目安量:2500mg/日
目標量:3000mg/日以上
成人女性
目安量:2000mg/日
目標量:2600mg/日以上
授乳婦
目安量:2200mg/日
欠乏症
カリウムは多くの食品に含まれており、通常の食生活で不足することはありません。
しかし下痢や大量の発汗、利尿剤の服用による尿量の増加などにより欠乏する場合があります。
主な症状
- 高血圧
- 浮腫
- 不整脈
- 筋無力症
過剰症
カリウムは多くの食品に含まれていますが、腎機能が正常であり、特にカリウムのサプリメントなどを使用しない限りは、過剰摂取になるリスクは低いと考えられます。
そのため、日本人の食事摂取基準2020でも耐容上限量は設定していません。
しかし腎障害がある場合は、摂取量に注意が必要です。高カリウム血症は不整脈を誘発し、死に至る場合もあります。
生活習慣病との関連
カリウム摂取の増加は脳卒中のリスクを減らしましたが、心血管病や冠動脈疾患のリスクには有意な影響はありませんでした。
さらに「ナトリウム/カリウム摂取比が心血管病リスク増加や全死亡に重要である」という報告もあり、その摂取は食塩との関連で評価すべきだと考えられています。
最近発表されたWHOのガイドラインでは、カリウム摂取量を3510mg/日(90mmol/日)以上を推奨しています。
これは、WHOが行ったメタ・アナリシスにおいて、90~120mmol/日のカリウム摂取で収縮期血圧(上の血圧)が7.16mmHg有意に低下したことを根拠にしています。
なお腎障害を伴う場合、高カリウム血症になる場合があるため、カリウムの積極的な摂取は避けるべきです。

CKD(慢性腎臓病)診療ガイドではステージG3以上で1500mg/日のカリウム制限が食事療法に加わります。カリウムは水に溶ける性質があるため、制限したい場合は茹でこぼしたり、水に浸しておくといいです。
多く含む食品
野菜や果物、いも類、肉、魚、納豆などに多く含まれます。
調理により栄養素が失われるので、積極的に摂取したい場合はそのまま食べられる果物やドライフルーツなどがおすすめです。
主な食品
まとめ
今回はミネラルのひとつ、カリウムについてまとめました。
それでは要点は次の通りです。
- 主要ミネラル(食事摂取基準では多量ミネラル)のひとつで、原子番号19、元素記号Kのアルカリ金属元素。
- 体液の浸透圧を調節、利尿作用、酸・塩基平衡の維持、神経や筋肉の興奮伝導などの働きがある。
- 成人男性の目標量は3000mg/日以上、成人女性の目標量は2600mg/日以上。
- 欠乏症は下痢や大量の発汗、利尿剤の服用により起こる場合があり、主な症状としては高血圧、浮腫、不整脈、筋無力症などがある。
- 過剰症は通常の食生活では心配ない。腎障害がある場合は摂取量に注意が必要。
- カリウムの摂取は、血圧の低下や脳卒中予防に効果があるとの研究結果あり。
- 野菜や果物、いも類、肉、魚、納豆などに多く含まれる。
カリウムは高血圧の食事療法では積極的な摂取、腎障害ではステージによって制限と体の状態によっても摂取の仕方が変わるミネラルです。
腎障害がない場合は基本的には積極的にとっておきたいミネラルになりますので、しっかり摂取して生活習慣病を予防していきましょう。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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