褥瘡の栄養管理 簡単要点まとめ

栄養基礎知識
てんぱぱぱ
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こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

 

 

今回は褥瘡のある方の栄養管理について、ポイントを簡潔にまとめた内容でご紹介したいと思います。

褥瘡の栄養管理の要点を簡単に知りたい方は、是非こちらの記事を読んでみて下さい。

 

褥瘡とは

褥瘡発生の直接的要因

褥瘡とは、皮膚の一定部位に持続的圧迫が加わり皮膚への血流が途絶え、皮膚が壊死に陥った状態です。

骨突起部などに耐圧が集中すると、骨とベットや車椅子のシートとの間に挟まれた皮膚および軟部組織の血管が圧迫され、一時的にその血管が還流している範囲は壊死に陥ります。

その間、組織への酸素供給が絶たれて、一定時間以上の阻血状態が続いた結果として不可逆的な組織壊死が起こります。

 

約200mmHgで2時間、約500mmHgで20分の圧迫が加わると皮膚に壊死が生じるとされています。

仰臥位の仙骨部には150mmHg、坐位時の坐骨結節部には500mmHgの圧がかかります。

原則として、ベット上での2時間ごとの体位変換、坐位での20分ごとのプッシュアップが推奨されています。

 

褥瘡の好発部位

多くの患者は、仰臥位で臥床しており、この体位では仙骨部に体重の約44%が集中します。

その為、仙骨部が褥瘡の好発部位となり、入院・在宅ともに褥瘡の40~60%が仙骨部に生じています。

しかし体位によって体圧の集中する部位が異なるため、側臥位では腸骨稜部・大転子部などに、腹臥位では膝などに、坐位では坐骨結節部などに褥瘡が発生することがあります。

 

褥瘡の二次的要因

褥瘡発生とその予後には、直接的な皮膚局所要因のみでなく、多彩な局所的、全身的あるいは社会的な二次的要因が加わることが常です。

 

局所的要因

①加齢による皮膚の変化

加齢による皮脂分泌低下や発汗低下によるドライスキン、表皮の菲薄化、皮膚のバリア機能の低下などにより、外界からの刺激に弱くなる。

 

②摩擦・ずれ

ヘッドアップ、体位変換時などに摩擦やずれが生じやすい。褥瘡におけるポケット形成の一因となる。

 

③失禁・湿潤

失禁、下痢、発汗などによる局所の湿潤や汚染が皮膚の浸軟を招き、皮膚障害を生じやすくなる。

 

④局所の皮膚疾患

皮膚感染症、炎症性皮膚疾患など

 

全身的要因

①低栄養

低アルブミン血症による浮腫や皮膚弾力性の低下、低ヘモグロビン血症による皮膚組織耐久性の低下が褥瘡の発生や予後に影響する。

 

②やせ

低栄養が進むと皮下脂肪が減少し、骨突出を生じやすいため褥瘡ができやすくなる。

 

③加齢、基礎疾患

加齢に伴う日常活動性や精神活動性の低下、生体防御機能の低下、さらに基礎疾患としての骨粗鬆症、糖尿病、心不全、閉塞性血管病変なども関与する。

 

④薬剤投与抗がん剤、ステロイドなどによる易感染性、創傷治癒遷延などが指摘されている。

 

社会的要因

①介護のマンパワー不足

②経済力不足

③情報不足

 

褥瘡の栄養管理

褥瘡患者のほとんどが低栄養状態であり、低栄養は褥瘡の発生や治癒の妨げに大きく関与しています。

そのため、栄養状態のアセスメント(評価)が重要となります。

 

身体計測

身長、体重を測定し、BMI【Body Mass Index:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】を求めます。

BMI20以下が「やせ」と判定されます。

また、体重減少率が1か月に5%以上、あるいは3か月で7.5%以上は褥瘡の危険要因となります。

1か月に1回は体重を測定し記録するようにしましょう。

 

栄養管理

  1. 血清総タンパク、血清アルブミン、血糖、血清コレステロール、ヘモグロビンおよびリンパ球数、ヘマトクッリット、血清クレアチニンは必須検査項目です。血清アルブミン値、ヘモグロビン値の低下は褥瘡発生の危険要因であることが明らかになっています。またヘマトクリット値から脱水の有無をチェックします。
  2. 高齢者の必要エネルギー量は標準体重【身長(m)×身長(m)×22)】あたり25~35kcal/kg/日ですが、体重減少が著しい高齢者では30~40kcal/kg/日とやや多めに設定し経過をみて適宜増減します。
  3. タンパク質は、高齢者の褥瘡予防には1.13g/kg、低栄養状態では1.25~1.5g/kgを目標とします。
  4. 水分は、脱水や浮腫がなければ食物由来の水分を含めて30ml/kg/日を目安として補給します。
  5. 亜鉛は、高齢者が摂取する通常の病院・施設食の量では不足する場合があるので、補助食品で補うようにします。
  6. ビタミンA、ビタミンCが不足すると皮膚の再生が遅滞します。
  7. 高齢者が通常の食事でバランスよく必要栄養量を摂取することは難しいので、目的にあわせて各種栄養素、ビタミン、ミネラルなどが調整された栄養剤、栄養補助食品を上手に利用します。

【栄養管理の目安】

血中濃度1日必要量
血清アルブミン3.0g/dL以上タンパク質として1.1~1.2g/kg
ヘモグロビン11.0g/dL以上
空腹時血糖80~110mg/dL
血清鉄80~160μg/dL15mg
血清亜鉛70~160μg/dL15mg
血清銅80~130μg/dL1.3~2.5mg
血清カルシウム8.5~10.3mg/dL600mg
血清ビタミンA400~1200ng/mL2000IU
血清ビタミンC2~15μg/dL150~500mg
血清ナトリウム137~147mEq/L食塩として10g以下
摂取エネルギー25~30kcal/kg
水分1L以上

石川 治、田村 敦志編著:創傷治療プラクティスー皮膚潰瘍・褥瘡・熱傷・小外傷(南江堂)

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