菜食主義と寿命、健康寿命の関係性とは?

論文

こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。

 

皆さん、野菜食べていますか?

 

健康のために野菜はしっかり食べなければいけないという事は、皆さんご存知のことでしょう。

厚生労働省が推進する健康作り運動「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つに「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられています。

 

しかしここで私は、あえて一つのクエッションを投げかけます。

「極端に野菜に偏った食事は身体にいいの?」

ということです。

 

肉・魚などを食べない野菜ばっかりの食事は健康にどのような影響を与えるのでしょうか?

今回は日本ニュートリション教会の情報から菜食主義と寿命、健康寿命の関係性」についてのレビューをご紹介します。

 

このレビューから上手な野菜との付き合い方を確認していきましょう。

 

研究報告

はじめに

ベジタリアンビーガン(完全菜食主義)といった菜食主義者が増えています。

宗教上の理由のほか、環境保護や動物愛護の潮流も菜食主義傾向の背景といえるでしょう。

日本の菜食主義者は約5%といわれますが、肉食を避け菜食メインの食生活の人も含めれば、菜食主義食はとても広いマーケットです。

ただ、菜食主義の健康影響については、さまざまな意見があります。

生活習慣病のリスクを下げるという報告がある一方で、栄養バランスを崩してしまうとの指摘もあり、近年研究が活発に行われています。

今回ご紹介する臨床栄養管理学雑誌「Curr Opin Clin Nutr Metab Care」に掲載されたレビュー論文では、菜食主義におけるサプリメント活用の可能性にも触れています。

食事スタイルに応じて、不足する栄養素も異なりますので、課題に応じたサプリメントの摂取で健康サポートしましょう。

 

研究報告内容

「菜食主義、老化、長寿:既存概念に新価値創造を」

概要
<レビューの目的>

野菜中心の食事が「健康」「長寿」に好影響を及ぼすといわれており、厳格な菜食主義「Vegan(ヴィーガン)」も近年、注目が高まっている。

本稿では、菜食主義者における死亡率と健康寿命を検討した研究をレビューし、菜食が寿命の延伸をもたらす可能性とその作用機序について論じる。

 

<先行研究による知見>

菜食主義に関する研究はまだ多く報告されていない。

疫学的研究では、がんや心血管疾患の罹患率の低下などが報告されており、一貫して病気の発生リスクが低いことが示唆されているものの、死亡率においては、菜食主義とときどき肉食機会のある場合で大きな差は認められていない。

厳格な菜食主義に徹する理由が食事の質に関するこだわりだとしても、結果的に健康寿命と寿命に影響が生じている。

菜食主義におけるタンパク質制限や特定のアミノ酸(ロイシンまたはメチオニン)の制限などは、潜在的に寿命の延伸をもたらすと考えられる。

菜食主義の食事は、インスリン抵抗性と脂質代謝異常やその関連疾患を改善する可能性がある。

さらに、食事影響のメディエーターとなる腸内細菌叢は、菜食主義者でより多様性に富んでおり、健康に寄与すると考えられる。

ただし菜食主義の食事は、栄養のバランスを崩しがちでもあり、適切なサプリメントを摂取する必要があるだろう。

特に子供、妊婦、または高齢者では、菜食主義は健康の要件を満たせないリスクを考慮すべきである。

 

<要約>

野菜中心の食事は健康と関連しているが、必ずしも死亡率を低下させるものではないという結果であった。

菜食主義の食事による健康増進の明確な作用機序はまだ完全には明らかとなっていないものの、多様な要因が関与している可能性が高い。

長寿研究において、菜食主義の科学的根拠と質的検証を行っていく必要があるだろう。

 

考察

本レビューでは、菜食主義の影響について次のように報告しています。

  • がんや心血管疾患の罹患率の低下などが報告されており、一貫して病気の発生リスクが低いことが示唆されている。
  • 死亡率においては、菜食主義とときどき肉食機会のある場合で大きな差は認められていない。
  • 菜食主義におけるタンパク質制限や特定のアミノ酸(ロイシンまたはメチオニン)の制限などは、潜在的に寿命の延伸をもたらすと考えられる。
  • インスリン抵抗性と脂質代謝異常やその関連疾患を改善する可能性がある。
  • 腸内細菌叢は、菜食主義者でより多様性に富んでおり、健康に寄与すると考えられる。
  • 栄養のバランスを崩しがちであり、適切なサプリメントを摂取する必要があるだろう。

想像通りといえばそうなのですが、「野菜は健康増進効果が期待できるが、栄養バランスを崩しやすいので注意しましょう。」というのが本レビューの見解です。

 

今回の結果の中で一つ気になったのは、

菜食主義におけるタンパク質制限や特定のアミノ酸(ロイシンまたはメチオニン)の制限などは、潜在的に寿命の延伸をもたらすと考えられる。
という点です。
私はいままでにも筋肉増強のためには、タンパク質(中でも必須アミノ酸、ロイシン)は重要ですと述べてきました。

 

ですので、

健康的な日常生活を送るためには、タンパク質は必要なはずだ!

タンパク質の摂取でなんで寿命が縮むのよ?

と単純に思いました。

 

そこでタンパク質制限や特定のアミノ酸(ロイシンまたはメチオニン)の制限と寿命についての研究報告を調べてみたところ、こんな情報を見つけました。

 

東京大学より

アミノ酸の代謝促進で長寿に Sアデノシルメチオニン代謝が寿命延長の鍵

東京大学大学院薬学系研究科の小幡史明特任助教と三浦正幸教授らの研究グループは、Sアデノシルメチオニンの代謝を促進させることで寿命が延びることを、ショウジョウバエを用いて明らかにしました。またSアデノシルメチオニン代謝の促進が、食餌制限による寿命伸展の一因であることを発見しました。

摂取カロリーを制限すると寿命が延長する現象は、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウスからヒトまで種を超えて広くみられます。近年の研究から、実際には総カロリーではなく、摂取する食餌の質が重要であることがわかってきました。中でも、必須アミノ酸の一種であるメチオニンだけを制限することでも寿命が延長することが示唆されています。しかし、その詳しい仕組みは明らかになっていませんでした。

今回研究グループは、メチオニンそのものではなく、メチオニンから合成されるSアデノシルメチオニン(SAM)の代謝が寿命延長の決定要因であることを明らかにしました。また、研究グループはショウジョウバエの脂肪組織にはSAMの量を一定にしようとする仕組みがあることを発見し、この機能を担う酵素(Gnmt)とその遺伝子を見出しました。SAMの量を詳しく分析した結果、老化したショウジョウバエの体内ではSAMの量が増加していました。そこでこの酵素の働きを遺伝学的に強めると、SAMの代謝が促進されることによって加齢に伴うSAMの増加が抑えられ、個体の寿命が延びることがわかりました。また、SAMの量を調節する酵素を欠損させたショウジョウバエでは、食餌制限による寿命延長の効果が見られませんでした。

「SAMの代謝経路はヒトにも同じように存在するため、本研究成果を人間の寿命や健康に関する研究に役立つ知見と考えています」と現在、英国フランシス・クリック研究所の研究員である小幡氏は話します。「SAMは抗うつ、抗肝臓傷害作用をもつサプリメントとして使われている実績がありますが、その作用機序の多くはわかっていませんので、今後詳しく調べる必要があると思います」。

© 2015 小幡史明食餌中に含まれるメチオニンは、体内でSAMに変換される。GNMTは余剰なSAMを代謝して制御する酵素である。GNMTが活性化しSAMの代謝・消費が促進されるとショウジョウバエの寿命が延びる

メチオニン代謝と寿命の関係
食餌中に含まれるメチオニンは、体内でSAMに変換される。GNMTは余剰なSAMを代謝して制御する酵素である。GNMTが活性化しSAMの代謝・消費が促進されるとショウジョウバエの寿命が延びる

アミノ酸の代謝促進で長寿に | 東京大学

 

こちらの研究ではメチオニンから合成されるSアデノシルメチオニン(SAM)の代謝が寿命延長の決定要因であると結論付けています。

うーん・・・何事もバランスが大切だという事ですね。

 

今回の情報をきっかけに、もう一度バランスのよい食事について考え、食事内容を見直してみてはいかがでしょうか?

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