
こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回は脂溶性ビタミンのひとつ、ビタミンDについてまとめていきます。
ビタミンDとは
ビタミンDは骨の形成にかかわる脂溶性ビタミンです。
ビタミンDは、次の2種類に分類されます。
- キノコ類などに含まれているビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
- 魚介類などの動物性食品に含まれているビタミンD3(コレカルシフェロール)
又ビタミンDの供給源は2通りあります。
- 皮膚にはプロビタミンD3が存在していて、日光の紫外線にあたるとプレビタミンD3になり、さらに体温による熱異性化によってビタミンD3になる。
- ビタミンD2とD3を食品から摂取する。
このようにビタミンDは、ヒト自身で作り出すこともできるビタミンです。
体内に取り込まれたビタミンDは、肝臓と腎臓で酸化され、活性型ビタミンDになります。この活性型ビタミンDはカルシウムやリンなどのミネラルの吸収力を高めてくれる作用をもちます。
働き
- 肝臓と腎臓でカルシウムやリンの吸収を助け、骨や歯にカルシウムが定着するのを促進する。
- 血中のカルシウム濃度を一定に保ち、カルシウムの働きを調節する。
カルシウムの99%は骨や歯にありますが、残りの1%は血液や筋肉にあり、筋肉を収縮させる働きを持っています。カルシウムが不足すると、ビタミンDは骨からカルシウムを取り出し筋肉に運ぶのと同時に、カルシウムを腎臓で再吸収させます。
一方、血中カルシウム濃度が高くなりすぎた場合は、ビタミンDがカルシウムを骨まで運び蓄積させます。
こんな人におすすめ
- 骨粗鬆症を予防したい人
- 歯周病や虫歯が気になる人
- 骨や歯が弱い人
- 日光にあたる機会が少ない人
- 妊婦、授乳婦
必要量(日本人の食事摂取基準2020年版)
日本人の食事摂取基準2020では、ビタミンDについて目安量と耐容上限量を設定しています。
日本人の食事摂取基準2015年版から2020年版で変更になった数値は赤でマークしています。
今回の改定で、「ビタミンDの基準値は、日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図る者はもとより、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心がけるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。」との内容が加えられました。

フレイル予防の観点から基準値も全体的に大きく増加しています。
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量。推定平均必要量を用いて算出される。
- 目安量:栄養状態を維持するのに十分な量。十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する。
- 耐容上限量:健康障害の危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
- 目標量:生活習慣病の予防を目的に目標とすべき摂取量。
ビタミンD の食事摂取基準(μg/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
6~11(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
1~2(歳) | 3.0 | 20 | 3.5 | 20 |
3~5(歳) | 3.5 | 30 | 4.0 | 30 |
6~7(歳) | 4.5 | 30 | 5.0 | 30 |
8~9(歳) | 5.0 | 40 | 6.0 | 40 |
10~11(歳) | 6.5 | 60 | 8.0 | 60 |
12~14(歳) | 8.0 | 80 | 9.5 | 80 |
15~17(歳) | 9.0 | 90 | 8.5 | 90 |
18~29(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
30~49(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
50~64(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
65~74(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
75以上(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
妊婦(付加量) | 8.5 | ー | ||
授乳婦(付加量) | 8.5 | ー |
欠乏症
外で適度に日照を受けている生活をしていれば、通常は食事からのビタミンDの摂取が少なくても体で作られるため不足することはありません。
しかし、日照時間が短い地域の方や、あまり外に出ない方などは注意が必要です。
ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下して、低カルシウム血症になります。
これに伴い、二次性副甲状腺機能亢進症が引き起こされ、骨吸収が亢進し、小児ではくる病、成人では骨軟化症が起こります。
(骨の石灰化や成長がうまくいかず、骨が通常よりも柔らかくなってしまう病気を小児ではく る病、成人では骨軟化症と呼び分けますが同じ状態です。)
- 二次性副甲状腺機能亢進症:副甲状腺以外の病気(ビタミンD欠乏症、慢性腎臓病など)が原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病態。
- 副甲状腺ホルモン:ビタミンDと共にカルシウムを骨から血液中に送
り出したり、腎臓や腸から吸収したりして血液中のカルシウム濃度を上昇させる働きをします。
欠乏症
低カルシウム血症→副甲状腺機能亢進症→くる病・骨軟化症
主な症状
- X脚、O脚
- 虫歯、歯周病
- テタニー(手足の筋肉が痙攣した状態。低カルシウム血症で起こります。)
過剰症
ビタミンDの摂取によって過剰症が起こるのはまれですが、大量に摂取すると血管壁や臓器にカルシウムが沈着されやすくなり、過剰症が起こります。
過剰症
- 高カルシウム血症
- 腎障害
- 軟組織の石灰化障害
主な症状
- 食欲不振
- 悪心
- 嘔吐
- 下痢
- 口の渇き
- 痙攣
多く含む食品
魚介類、キノコ、卵類に含まれます。
主な食品
まとめ
今回はビタミンDについてまとめました。
要約すると次の通りです。
- 脂溶性ビタミンのひとつ
- カルシウム定着の促進、血中カルシウム濃度を保つなどの働きがある
- 目安量は、成人で男性・女性と共に8.5μg/日、耐容上限量は100μg/日
- 欠乏症は、低カルシウム血症→副甲状腺機能亢進症→くる病・骨軟化症
- 過剰症は、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害
- 魚介類、キノコ、卵類に多く含まれる

ビタミンDを上手にとって骨太でいきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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