
こんにちは。管理栄養士のてんぱぱぱです。
今回は脂溶性ビタミンのひとつ、ビタミンEについてです。
ビタミンE(トコフェロール)とは
ビタミンEは化学名でトコフェロールといいます。
ビタミンEは、動物の生殖と深いかかわりのある栄養素です。
ネズミの不妊を防ぐ栄養素として発見されました。トコフェロールの「トコ」は「出産」を意味します。
働き
ビタミンEは、生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を酸化障害から守る(抗酸化作用)ために細胞膜のリン脂質二重層内に存在します。
主な働きは次の通りです。
活性酸素は過剰に発生してしまうと細胞を酸化させて傷つけます。
これが老化やがんの原因になといわれています。
また脂質に含まれる脂肪酸が酸化して過酸化脂質になるのを防ぐことで血管を健康に保ちます。
特にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が酸化した酸化LDLコレステロールは、動脈硬化の原因になるといわれているので、この酸化を防ぐことは重要です。
毛細血管を拡張させ、さらに過酸化脂質増加を防ぐことで血流をよくします。
こんな人におすすめ
(活性酸素の除去)
- 老化を防止したい人
- 動脈硬化などを予防したい人
- お肌の調子を整えたい人
(血行を整える)
- 冷え症の人
- 肩こりの人
- 頭痛の人
(ホルモンバランスを整える)
- 更年期の症状がある人
- 生理痛のひどい人
- 精力減退気味の人
補給法
脂溶性ビタミンのため、サプリメントとして摂取する場合、食事の直後に補給すると吸収力が高くなります。
それぞれ独自に抗酸化作用をもつビタミンC、βカロテン、ビタミンB2、セレンなどと併せて摂取すると効果的です。ビタミンCには、Eの抗酸化作用を高める働きがあります。
必要量(日本人の食事摂取基準2020年版)
日本人の食事摂取基準2020年版では、ビタミンEについて目安量と耐容上限量を設定しています。
日本人の食事摂取基準2015年版から2020年版で変更になった数値は赤でマークしています。
- 推定平均必要量:50%の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量。推定平均必要量を用いて算出される。
- 目安量:栄養状態を維持するのに十分な量。十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する。
- 耐容上限量:健康障害の危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
- 目標量:生活習慣病の予防を目的に目標とすべき摂取量。
ビタミンE の食事摂取基準(mg/日)1
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | 3.0 | ー | 3.0 | ー |
6~11(月) | 4.0 | ー | 4.0 | ー |
1~2(歳) | 3.0 | 150 | 3.0 | 150 |
3~5(歳) | 4.0 | 200 | 4.0 | 200 |
6~7(歳) | 5.0 | 300 | 5.0 | 300 |
8~9(歳) | 5.0 | 350 | 5.0 | 350 |
10~11(歳) | 5.5 | 450 | 5.5 | 450 |
12~14(歳) | 6.5 | 650 | 6.0 | 600 |
15~17(歳) | 7.0 | 750 | 5.5 | 650 |
18~29(歳) | 6.0 | 850 | 5.0 | 650 |
30~49(歳) | 6.0 | 900 | 5.5 | 700 |
50~64(歳) | 7.0 | 850 | 6.0 | 700 |
65~74(歳) | 7.0 | 850 | 6.5 | 650 |
75以上(歳) | 6.5 | 750 | 6.5 | 650 |
妊婦(付加量) | 6.5 | ー | ||
授乳婦(付加量) | 7.0 | ー |
- α─トコフェロールについて算定した。α─トコフェロール以外のビタミンE は含んでいない。
欠乏症
不足状態が続くと、しみ、肩こり、神経障害、溶血性貧血などを起こすことがあります。
また動物実験では、不妊以外に脳軟化症・肝臓壊死・腎障害・溶血性貧血・筋ジストロフィーなどの症状を呈します。
主な症状は「こんな人におすすめ」で紹介した内容と重なりますのでそちらで確認してみて下さい。
過剰症
通常の食品からの摂取においては過剰症をきたすことはありません。
しかしサプリメントの過剰摂取などにより、出血傾向が上昇するといわれています。
サプリメントを使用する際は、用法容量を順守しましょう。
多く含む食品
ナッツ類や植物油、魚介類に豊富に含まれています。
主な食品
まとめ
今回はビタミンEについてまとめてみました。
要約すると次の通りです。
- 脂溶性ビタミンのひとつ
- 抗酸化作用、血行促進、ホルモンバランスの調節などの働きがある。
- 目安量は、成人男性で6.0~7.0mg/日、成人女性で5.5~6.5mg/日。
- 耐容上限量は、成人男性で750~900mg/日、成人女性で650~700mg/日。
- 欠乏症は、しみ、肩こり、神経障害、溶血性貧血などがある。
- 過剰症は、出血傾向がある。
- 多く含む食品は、ナッツ類、植物油、魚介類。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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